Cliff Side Jazz Night “The Third” Sept 24 2016

先月24日のクリフサイドツアー、総勢10人の大所帯となりました。𣳾地虔郎さんのご配慮で2階席正面の3テーブルを提供されました。この席は僕は個人的に一番好きな席なんですが、𣳾地さんも同じ感覚だったのでしょうか?夢の空間をじっくり堪能できたひとときでした。
今までで一番本格的なクリフサイドでの映像撮影…ああでもぶっつけの手持ち撮影…それでも今までより少しマシ。編集して短いクリップにまとめようと思った のですが、人間の証明がよかった、ジャンバラヤが、テネシーワルツが、愛燦燦がよかったとツアー参加者の声を聞いたり、あるいは、出演されているミュージシャンの記録としてノーカットであった方がいいと思い全編公開、計10本のクリップを作りました。(一部撮影のミス等で収録されていない曲もあります)

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Since 1946 「クリフサイド」は終戦直後の昭和21年に日本人専用のダンスホール「山手舞踏場」として開店して以来、70年の歴史を古き良き横浜の香りをそのままに引き継いでいます。戦後の名だたるジャズミュージシャンがクリフサイドのステージから巣立っていきました。100平方メートルのダンスフロアと1階2階の吹き抜け、和洋折衷の建築様式がドラマチックな空間をつくりだし数々の映画のロケ地として有名です。横浜に数多くあったダンスホールは今はすでになく、クリフサイドは奇跡的に、歴史と文化の接点、元町代官坂の丘に屹然として立っています。
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Cliff Side Story
https://www.youtube.com/watch?v=UojrmvOQxRU
クリフサイドホームページ
http://cliffside.blue.coocan.jp/index.html

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Cliff Side Jazz Night “The Third”
Sept 24 2016

1) Take the A Train, Jambalaya

2) 人間の証明, Basin Street Blues

3) It’s A Sin To Tell A Lie, Yokohama Dream (Vo キャロル山崎)

4) Tennessee Waltz, In the Seabreeze (Vo キャロル山崎)

5) Love, Everybody Loves Somebody

6) Saturday Afternoon Blues, You Don’t Know What Love Is

7) Bei Mir  Bist Do Schon, I Got Rythm, Black Orpheus

8) Cheek to Cheek, Gaslight in the Twilight (Vo キャロル山崎)

9) Goody Goody, Isn’t She Lovely (Vo キャロル山崎)

10) Round Midnight, 愛燦燦

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“The Third”
Flute: 佐藤未来・大澤香奈江・斉藤早紀/Cla: 菊池光雄/A,Sax: 森保未栗・岩佐俊明・玉井 昇/T.Sax: 長田美奈子・藤田勝美/B,Sax: 大島裕介/Trumpet: 渡辺真弥・山内むつみ・井ノ上美月・窪田 肇・落野 薫/Trombone: 木村友香・熊川小太郎・松石純・中島三郎/Piano: 小野大地・尾島舞紀・松石恵美子/Bass: 市川淳子・酒谷裕佳里/Drums: 菅俊之・泊由起子・金子高之
Vocal: キャロル山崎
作・編曲/指揮: 𣳾地虔郎

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「横濱ベイエリア」写真展、エリスマン邸にて開催中

町田昌弘

町田昌弘率いる10人の怪しい港界隈放浪写真家集団が、みんなの知らない「横濱ベイエリア」を案内する「横濱ベイエリア」写真展、7月14日までエリスマン邸にて開催中。

[動画] http://youtu.be/2ZjnTs2KSU4

[Facebook] https://www.facebook.com/events/272743759565128/

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会 期 2014年7月8日(火)~7月14日(月) 9:30~17:30
会 場 エリスマン邸 地下ホール
http://www2.yamate-seiyoukan.org/seiyoukan_details/Ehrisman/

出展者 安彦勝博 安藤恵造 篠崎 卓 杉本光生 中山 卓 平野昌子 本間皆子 増井さちみ 増井 諭 町田昌弘

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横浜ベイエリアと言えば、まず思い浮かぶのは山下公園やみなとみらい周辺、象の鼻パーク、八景島シーパラダイスなどでしょう。しかし、知っているようで意外に知られていない横濱ベイエリアの魅力、鶴見区安善町から金沢区野島町まで人工の海外線は141kmにも及び、それに沿って歩いてみると、観光スポットにはない、じつに味わい深い風景が折り重なるように展開し、眼を飽きさせません。……(町田昌弘・展覧会案内より)

町田昌弘『横濱ナイト&デー』
http://www.amazon.co.jp/dp/4817921188

 

 

森 直実『横濱中華街三十六景』at 横浜市中央図書館

mori naomi chinatown

横浜錦絵をオマージュする独特な技法による森直実ワールド『横濱百景』のうち、「横濱­中華街三十六景」22点の新作を含めた第3弾、シリーズ最後にして最高の中央図書館で­の展示をお見逃しなく!

Report Video >>> http://youtu.be/wKAb4yMpr28?list=UUhAEnPTri1pfLAP-vKMfVUA
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森 直実 横濱百景写真展
『横濱中華街三十六景』
2014年6月20日(金)〜7月13日(日)
横浜市中央図書館 1階展示コーナー

森 直実オフィシャルサイト
http://naomi-mori.main.jp

「よこはま竹の声音楽祭2013」PVが続々アップ

竹の声音楽祭

 

港北ふるさとTV局のサイトの特設ページ「よこはま竹の声音楽祭2013」に、たくさんのPVがアップされています。

 

http://kohoku-furusato-tv.org/gang_beifurusatoterebi_ju/yokohama_zhuno_sheng_yin_le_ji.html

 

いよいよ来週、8月25日(日)横浜市港北公会堂にて「よこはま竹の声音楽祭2013」が開かれます。自分たちで竹楽器を作るワークショップの参加者とプロの竹楽器演奏家がコラボレーションするコンサートです。竹林の保全活動を行っている都筑区のNPO「日本の竹ファンクラブ」が主催する全国で最も規模の大きいバンブー市民オーケストラの活動です。

5日間のワークショップの記録や出演するミュージシャンのインタビューなどのPVを制作担当する「港北ふるさとテレビ局」は、地域の歴史や文化を映像で記録する活動をしています。今回の記録も来年開催される「港北ふるさと映画祭」への出品を目指しています。

今回の音楽祭は、主催の「日本の竹ファンクラブ」、「港北ふるさとテレビ局」をはじめ、竹楽器作りワークショップの講師を務め出演もする「東京楽竹団」、コンサートの制作を担当する「NPO法人アークシップ」、「横浜市民放送局」などジャンルを超えた複数のNPOがコラボレーションしてつくりあげるというのも特色のひとつです。

 

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「よこはま 竹の声音楽祭 2013
ワークショップ:83日(土)~818日(日)小机城址市民の森、横浜国際プールなど
コンサート:825日(日)港北公会堂
ゲスト出演者:東京楽竹団、小栗久美子、うつくしまバンブーオーケストラ
主催:特定非営利活動法人 日本の竹ファンクラブ http://takefan.jp
後援:横浜市、横浜市教育委員会、港北区役所、横浜市体育協会、横浜市観光コンベンションビューロー
協力:横浜国際プール、東京楽竹団、NPO法人アークシップ、港北ふるさとテレビ局/横浜市民放送局

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日本の竹ファンクラブ http://takefan.jp
竹の声音楽祭の動画配信「竹ファンTV」www.youtube.com/user/takefanTV
東京楽竹団 http://www.tokyo-bamboo.com
小栗久美子 http://www.geocities.jp/nhaccu_vn/
NPO法人アークシップ http://www.arcship.jp
港北ふるさとテレビ局 http://kohoku-furusato-tv.org/
横浜市民放送局 http://yokohama-tv.com

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リーフレットのPDFダウンロード
◉ワークショップ参加者募集(参加申込書)
◉コンサート

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18日まで マレーシア「クバヤ刺繍」展示会 於爾麗美術

キムさんとイエンさん

マレーシアの伝統衣装「ニョニャ・クバヤ」の展示会と刺繍の実演が、横浜中華街ギャラリー爾麗美術で開催されています。

クバヤは19世紀頃ジャワで生まれ、マレー半島でプラナカン※の手によってニョニャ・クバヤという華麗な伝統衣装に発展したものです。(※プラナカンとは現地人と外国人の混血をルーツとするマレーの人々)ニョニャ・クバヤの特徴は豪華な刺繍です。手動のミシンで精緻な技を透き通るような独特の生地に縫い込めます。

今回、来日してクバヤ刺繍のデモンストレーションを行う、リム・スウィーキムさんは82歳、唯一となったクバヤ・テーラーでマレーシアの人間国宝です。前首相夫人の支援で滅びそうだったニョニャ・クバヤの技を現代に築き上げました。

動画はこちらです>> http://youtu.be/ygeG4AqfSuU

8月15日(木)~18日(日)11:00~19:00

ギャラリー爾麗美術(横浜中華街西門通り)http://nirei-art.com

ニョニャ・クバヤ キム・ファッションhttp://kimkebaya.hahaue.com/

ヨコハマトリエンナーレ2014 アーティスティック・ディレクターは、森村泰昌さん

例年より早い、会期の2年前にヨコハマトリエンナーレの第1回記者会見が開かれたので行ってきました。詳しい報告は後ほどお伝えするとして、会見の模様の映像をまずはご覧ください。
次回ヨコトリのアーティスティック・ディレクターとして紹介されたのは、何と、アーティストの森村泰昌さん。アーティストがディレクターを務めるのは、ヨコトリ2005の川俣正さん以来、二人目です。その意味するところ、結果は如何に?「横浜以外だったら断ったでしょう」と、横浜には特別な愛情があるとおっしゃっった森村さん、期待が膨らみます。
TAEZ!からの質問、「横浜には10年以上の歴史を誇るアートNPOがいくつもあります。横浜トリエンナーレがこのような団体とリンクしないのはもったいないと疑問に思っています。例えば会期中に『横浜Week』と名付けて、横浜のアートNPOや現代アートのギャラリーの企画を、週替わりに展示するプログラムを開催したらいかがでしょう?世界のアートと横浜のアートが出会い、交流する場面はすてきだと思いませんか?」に対して、明確な返答は当然ながら(まだはじまったばかりなので)なかったものの、「総花的ではいけない」と保留をしながら「各地で焦点を結ぶような」取り組みはしたいと前向きな回答でした。
森村さんという個性、横浜市が主催であるということ(文化庁は今回は主催からはずれている)、準備期間が充分な期間が確保できたということ、もろもろ、好条件が整っているヨコハマトリエンナーレ、今回は充分期待をしてもいいのではないかと思いました。

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ヨコハマトリエンナーレ2014
第1回記者会見
2012年12月18日(火)14:00-15:00
横浜美術館 円形フォーラム

横浜トリエンナーレ組織委員会 委員長 逢坂恵理子

ヨコハマトリエンナーレ2014 アーティスティック・ディレクター 森村泰昌

横浜トリエンナーレ組織委員会 事務局長 帆足亜紀

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1.ヨコハマトリエンナーレ2014 開催概要
名 称 ヨコハマトリエンナーレ2014
会 期 2014 年8月上旬~ 11月上旬 ※会期の詳細・休場日は、決定次第お知らせします。
主会場 横浜美術館、新港ピア(新港ふ頭展示施設)
主 催 横浜市、(公財)横浜市芸術文化振興財団、NHK、朝日新聞社、横浜トリエンナーレ組織委員会
アーティスティック・ディレクター  森村泰昌(もりむら やすまさ)

2.アーティスティック・ディレクター
3.主会場について
4.記者発表資料 [ ↓ダウンロード PDF(188kb) ]

2.以降の詳細は下記HPをご覧ください。
http://www.yokohamatriennale.jp/top/news/news-20121218-03.html

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[interview] 横浜メリーゴーラウンド研究所代表の寺道健一郎さん

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かつて、根岸競馬場の馬たちが休んだ厩舎跡に「横浜メリーゴーラウンド研究所」はあります。明治から現代へ、イタリア、インドから横浜へ、時間と空間を越えて本牧一丁目か­ら、横浜の新しい物語が誕生します。3年の月日をかけていよいよ完成間近の「横浜メリーゴーラウンド」の三頭の馬たちの息づかいが聞こえてきました。

2012年春、山下公園芸術祭にプロトタイプを出展した「横浜メリーゴーラウンド」、代表の寺道健一郎さんにメリーゴーラウンド製作のプロセスなどのお話を伺いました。

「アーティスト・ランのプロジェクト」山岡佐紀子によるインタビュー (Index)

WolfArt (Rotterdam)

私、山岡佐紀子は、2012年4月から5月にかけて、スエーデンとオランダに滞在し、アートイベントなどに参加しました。私は、ここ15年間、ほぼ毎年最低1回はヨーロッパに出ており、主にアーティストが企画するアートイベントに参加しています。最近は、さすがに企画する人たちの世代交替を感じ、作品の傾向は当然ながら変化しておりますが、変わらないのは、アーティストたちが、どこでも活発に協力しあって、自分たちのやりたいイベントを続けていることです。ヨーロッパもまた2008年以後の経済危機の影響は色濃く訪れているのですが、日本の状況と違うのは、返ってアーティストたちの自主的な活動が積極的になっているところです。

このインタビューは今回関わった3つのイベントや研究グループのオーガナイザーに行ないました。実はある雑誌のための取材だったのですが、出版が来年になるということなので、鮮度が落ちないうちにと、まず自分のブログにとりあえずアップしました。そしてさらに、いろいろな方に是非参考にしていただきたいと思い、Taezへの掲載をお願いした次第です。掲載希望を受けてくださった、Taezの高橋晃さんに感謝します。どれもパフォーマンスアートに関するものですが、一般のファインアートとして、お読みになっても充分、通じる中身だと思います。

私の興味のポイントは以下の3点。

1. アーティストが企画すること、アーティスト・ランということの意味。
2. 教育活動が常に加えられているという最近の傾向。
3. パフォーマンスアートの魅力。

text: 山岡佐紀子

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アーティスト・ランのプロジェクト Index
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pals(1) PALS (Performance Art Links)
今年が、その第1回であるストックホルムのパフォーマンスアートフェスティバル。デニス・ロマノウスキーDenis Romanovski、ラビサ・ヨハンソンLovisa Johansson、エリック・ヴィクストロインErik Wijkströmの3人のアーティストたちにより企画された。…
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PAS(2) PAS (Performance Art Study)
パフォーマンス・アート・スタディズについては、数年前からその存在は知っていた。主催者のヨハネスのことも、その少し前から知っていた。今回は、私が参加した2つのアートイベントのどちらにも、PASは教育活動として、参加していた。…
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PAE(3) PAE (Performance Art Event)
「パフォーマンス・アート・イベント」は、オランダの港町ロッテルダムの若い3人のアーティストたちにより運営されている。オーガナイザーは、リーダー格のニナ・ボアスNina Boas、マータイ・ステリンガMartjin Stelinga、それからイケ・トリンクスIeke Trinksの3人。…
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山岡佐紀子 Sakiko Yamaoka 札幌生まれ
http://www.sakikoyamaoka.com/
作品は、以下の2つの方向性。
1. サイトペシフィック(社会コンテキストと視覚的条件)を背景とした作品。
2. ホワイトキューブでのファインアート系作品。
ワークショップ、レクチャー、写真、絵画などもある。
<主な作品>
「天使の監視」秋葉原駅を背景に監視カメラをテーマにした妄想型作品。Ustreamを使う。
「Love or Not」参加型ストリートアクションパフォーマンス。
「Blind Game」易とオセロをミックスした2時間のデユレーションパフォーマンス。
「空からの風」感情の変化を風にたとえてパーティテーブルを台無しにする。
「Best Place to Sleep」銀行ATMなどで少し昼寝をする。
「Come with Me」共犯意識を高めるふて寝系参加型ストリートアクション。
「Missing in Yokohama」事実とフィクションをMixした近代横浜を舞台にした自伝的作品。
「This is my sound」音と行為と身体をテーマにしたロジカルな小品。
「Drill」「Garden」「Hand-mill」「Topaz」「東京竜巻プロジェクト」など。
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◉「ヨコハマトリエンナーレ2011〜世界ってどこ? 山岡佐紀子が語る」
◉「優秀な通訳者」

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「アーティスト・ランのプロジェクト」山岡佐紀子によるインタビュー (3) PAE

Nina Wijnmaalen
Nina Wijnmaalen photo by Mladen Suknovic

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PAE

(パフォーマンス・アート・イベント)
http://performanceartevent.nl/

「パフォーマンス・アート・イベント」は、オランダの港町ロッテルダムの若い3人のアーティストたちにより運営されている。オーガナイザーは、リーダー格のニナ・ボアスNina Boas、マータイ・ステリンガMartjin Stelinga、それからイケ・トリンクスIeke Trinksの3人。マータイは現在サウンド系になったそうだが、3人とも基本的にはビジュアルアート系のパフォーマンスをするアーティスト。私は、イケと2011年3月にスペインで知り合い、仲良くなった。4月にストックホルムに来る予定があったので、彼女たちのイベントにも参加することになった。私が参加したイベントは、5月8日と9日の2日間ではあるが、先日このブログでも紹介した、PAS(パフォーマンス・アート・スタディ)との共催の形をとっており、イベントは4月27日から始まった。イケ自身が2010年にベルリンでPASに生徒として参加したことがあり、ロッテルダムの若者に経験をと、共催をオファーしたのだ。8日と9日のパフォーマンスイベントでは、PASの生徒6人と、教師2名もパフォーマンスを行った。以下、インタビューは、イケ・トリンクスに行った。
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イケ Ieke Trinks
イケ Ieke Trinks

———— PAEを始めた経緯などをお聞かせ下さい。
イケ・トリンクス : PAEは2008年に、ニナとマーティンの二人が始めました。ふたりは、フィンランドのパフォーマンスアートフェスティバルに参加し、パフォーマンスアートが、どれほど、観客に関心を持たれているのかを見て、刺激を受け、それをロッテルダムで行ないたいと思うようになりました。ここでは、パフォーマンスアートはあまりポピュラーではありません。アートの専門家ですら、よくは知らないと思います。また、誤解もされていると感じていました。国際レベルのパフォーマンスアートには、いろんな種類があることを見てもらいたいと思いました。そして、さらに、重要なことは、若い人たちやまだアートを始めたばかりの人たちに、チャンスの場を作りたいと考えました。私自身は、2009年からの参加です。ニナが私に協力を求めたのです。私もとても、興味があったので、参加しました。わたし自身、パフォーマンスアートは始めたばかりで、オーガナイザーとして働くことで、学ぶ事が多いだろうと期待しました。

——- あなたはどうしてパフォーマンスアートに興味を持つようになったのですか?
私は、以前は、写真やビデオの作品を作っていましたが、やりたいことがその方法では充分ではないと感じていました。それまでの作品にも、すでにパフォーマンス的な要素があり、身体を使うことに興味がありました。また、ある展覧会が終わった後に、材料の多くをゴミにしてしまったことがありました。私はそのことで悩みました。私は、この世界にある、私たちが作り出した様々な「物」に対して責任があり、この消費社会に対する私の意識を示さなくてはならないと感じました。もちろん、私は天使ではないので、なおも作品のために材料を買ったり、飛行機に乗ってエネルギーを使ったりして、環境破壊に加担していますが。私がパフォーマンス作品にひかれたのは、それが基本的に「物」ベースのものではないというところです。パフォーマンスの作品は、物ではなくて、時間をつくります。パフォーマンスアートは、自分の理想を完成させるというよりは、アイデアのプロセスであり、それを発展させる場所です。私のその実践を、観客の目前で、あるいは観客とともに行なうことにより、その問いをわけ合い、交流することができると思います。そのことに、私は魅力を感じています。

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ニナ Nina Boas
ニナ Nina Boas
マータイ・ステリンガMartjin Stelinga
マータイ・ステリンガMartjin Stelinga

———- PAEでは、どんなことをしていきたいですか?

まだはっきり方針が決まりません。できたら、毎年、インターナショナルなイベントをしていきたいです。といって、規模を大きくしたいというような特別な野望はありません。先輩アーティストからの助言があり、去年の9月からは、毎月の小さなイベントを、始めました。ほとんど予算なしですが、アーティストや観客ができるだけ多くの機会を持つことが大切だと思いました。また、今年になって、アート・ロッテルダムというアートフェアの中でのイベントの参加という、大きなオファーもありました。彼らはパフォーマンスアートにとても興味があるようで、私たちにとってもいい機会だと思うのですが、予算や時間的に、私たちの今の能力では、ちょっと厳しいものがありました。そんなこともあり、今後のために、新たなメンバーを加えるかもしれません。
オーガナイズの方法として、何か新しい方法を考えてもいいと思います。まだ、私たちは若くて、もっと学ばなくてはなりません。私たちは、ローカルイベントとインターナショナルの両方をしたいし、パフォーマンスアートネットワークだけでなく、普通のアートのものとも関わりたいのです。
オーガナイズをすると、あるアーティストがどのように考えて作品を作るのかと言う方法を学ぶことができます。また、オーガナイザーやキュレーターが何を考えるのか、知る事ができます。

—— PAEがいつも使っている会場である、Wolfartはどういう場所なのでしょうか。

Wolfartプロジェクトスペースは、もともと、ミュージシャンであるアーティストたちによって、いわゆるスクワットされ、運営されている場所です。彼等は、主にコンサートやその他の様々なイベントをプログラムしています。Wolfartと言う名は、ストリートの名であるWolphaetから来ています。同じストリートは同じ頃に、たくさんの建物がスクワットされました。この南ロッテルダムには、New Ateliers Charlois(NAC)という名のアーティスト・ランのファンデーションがあります(2004年設立)。彼等は、地域に空きビルをみつけ、地域の住宅を供給する公社と交渉して、一定期間借り受け(例えば10年)、アーティストのためのスタジオや住居とし、安い金額で貸しています。Wolfartもその1つです。ニナはそこに住んでいるので、私たちはいつも、Wolfartを使うことができます。NACは、賃料の他にも市の開発基金のようなところから、補助金も得ています。そして、私たちの企画は、いつもNACの基金から助成を得ています。わたしが知る限り、オランダにはこのようなアーティストランのファンデーションがたくさんありますが、NACは成功している例として、外国の都市開発組織からも招待され、紹介されることも多い有名な組織です。

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Willem Wilhelmus
Willem Wilhelmus photo by Mladen Suknovic

——- あなたは、オランダという国で活動していますが、政治的な面で社会から影響を受けることはありますか?

私自身の作品には、政治的なことは、あまり関係しません。影響があるとすれば、商品文化やコマーシャルなことに関わらないパフォーマンスアートを、私が選んでいるということでしょうか。アートは社会に向けて、ある確かな態度を示すことで、充分、政治的なのではないかと思います。
具体的に、昨今のオランダの政治的な面で言えば、アートに対する予算が大幅に削減されていることが、私たちの活動に影響しています。オランダのアーティストやアートインスティトゥーションは、80年代からずっと、非常に良い状態でやってくることができました。この30年というもの、助成金が充実しているだけでなく、プロや経験のあるアーティストには、福祉のシステムすらありました。しかし、最近、多くのインスティトゥーションは、助成が受けられなくなり、中にはやめてしまったところもあります。オランダのアートに重要な役割を持っていたとても重要なアートインスティトゥーションが立ち行かなくなってきているのは、とても、残念に思います。長い間、培った専門知識が失われてしまいます。私たちPAEも、今回の企画では、国からの助成は、落選してしまいました。確かに、パフォーマンスアートは少し、他の表現形式よりもさらに、厳しいとは思います。なぜなら、直接的にコマーシャルな要素が乏しく、収入も見込めませんから。それで、選んでもらえなかったのだと思います。しかし、私はこの状況が続くとは思いません。9月に選挙があり、政権が変われば状況が良くなる可能性があります。アートシーンからの熱心な警鐘や存在アピールがなされています。

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Yamaoka work_Blind Game
Yamaoka work_Blind Game photo by Mladen Suknovic

———- 地域社会との共同企画があると聞きましたが、それはどんなものですか?

ロッテルダムは、労働者クラスの都市なので、低収入や失業者、また、トルコ、モロッコ、アンティル諸島からの移民のグループがかなり多く住んでいます。いわゆる多文化社会です。市は、アートやアーティストたちの持つ雰囲気に興味を持っています。アーティストたちは協力しあって低予算でイベントを企画するのが得意だからです。しかも、ロッテルダムには、たくさんのアーティストが住んでいて、お互いにオープンで、コラボレーションや交流イベントをすることに積極的です。また、私が住んでいる南ロッテルダムは、貧しく、犯罪やドラッグの問題もあります。市当局は、これまでも問題を解決するために、多大なエネルギーや費用をかけてきました。そして、このごろは、アーティストによる、地域コミュニティを巻き込んだプロジェクトを期待するようになってきたのです。しかし、地域の人たちで、アートに関心がある人は一握りだし、彼等のサバイバルだけで充分忙しく、無理にアートを押し付けられても、という面もあるでしょう。一方、アーティストたちはソシャルワーカーのようになってしまうかもしれません。そうは言うものの、なかなかうまくいった素敵なプロジェクトもあります。たとえば Kus&Sloop は、ホテル兼アパートのプロジェクトです。 空き部屋やアパートをホテルのように貸し出します。アパートのインテリアは、近所の店が協力してセットアップします。カーテンを売る人、それを縫う人はトルコの女性、掃除する人も近所の人。そこに泊まる人は、近所のモロッコベーカリーでパンを買います。などなど、近所一帯のマルチカルチャーな人たちがアパートの運営に関わるのです。泊まる人たちは、地域多様性を、楽しむことができます。私たちPAEも今回、このプロジェクトを利用して、PASのメンバーや生徒さんたちや、アーティストたちを滞在させました。
PASのための会場として、また、パフォーマンスイベントの2日目の会場として、利用したGemaal op Zuid(ケマール)も、地域のコミュニティのためのスペースです。
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アーティスト・ランのプロジェクト
(1) PALS (performance art links)
(2) PAS (PARFORMANCE ART STUDIES)
(Index) & 山岡佐紀子プロフィール

「アーティスト・ランのプロジェクト」山岡佐紀子によるインタビュー (2) PAS

Kirsten Heshusius
Kirsten Heshusius photo by Monika Sobczak

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pas

PAS (パフォーマンス・アート・スタディズ)
http://pas.bbbjohannesdeimling.de/

 パフォーマンス・アート・スタディズについては、数年前からその存在は知っていた。主催者のヨハネスのことも、その少し前から知っていた。今回は、私が参加した2つのアートイベントのどちらにも、PASは教育活動として、参加していた。ストックホルムでは、ヨハネスがレクチャーをするだけだったが、ロッテルダムでは、10日間のフル・プロジェクトが開催され、その中で、私もちょっとだけ、レクチャーを承った。
パフォーマンスアートは教えられないだろうと、よく言われる。素人でも、ぱっとやれる分野だと思われている。それは大きな誤解なのだ。身体の訓練ではなく、アイデアと実践の勉強はやはり、必要なのだ。欧米では、アートスクールのクラスの中で、パフォーマンスアートの勉強をする時間を設けているところは少なくない。しかも、ヨハネスは、学校ではなく、出前式の「ティーチングというパフォーマンス」の実践している。つまり、私たち日本の状況の何歩も先を行っているのでは?
PASでは、主催者のヨハネス・ディームリング(BBB Johannes Deimling)の他に、アシスタント講師として、マルセル・スパーマン(Marcel Sparmann)、その他に、写真家が2人。この4人のチームが全員揃って、PASは成立する。4人のうち、3人がドイツ人、写真家の一人はポーランド人である。

インタビューは、2012年5月7日、ロッテルダムでの、PASのプログラムの最中の昼休み、近くのカフェにて、ヨハネスとマルセルの2人に、行なった。

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BBB Johaness Deimling
BBB Johanness Deimling

—— パフォーマンス・アート・スタディズとはどういうものですか。

ヨハネス: PASは、2008年に設立しました。それ以前の15年間、私は、様々な形でパフォーマンスアートを教えるということをしてきました。美術アカデミーや学校、大学などです。そして、それを通して、そして、教えることをパフォーマンスとして、発展させられると考えるようになりました。教えることで必要とされる、空間と時間とプロセスは、パフォーマンスアートを創るためのツールと同じです。ティーチングパフォーマンスは、なにより自由なスタイルをとりたいと思いました。研究室はおろか、オフィスすらありません。ここでも、私たちは、アーティストであり、同時に、教師で、ディレクターで、かつオーガナイザーなのです。これは、学校のプロジェクトではなく、アートプロジェクトです。アートの学生だけでなく、一般の生徒も教えます。教えるプロジェクトですが、いわゆる「エデュケーション」ではないのです。また「ワークショップ」という言葉は全く不十分です。これは、生徒にとっても私たちにとっても「研究」なので、むしろ、「ペダゴティック(教育学)」と言っても、良いかと思っています。たぶん、「アイ・オープナー」という言葉が一番、合うかもしれません。つまり、パフォーマンスはパフォーマンス。あなたはあなただし、私は私です。しかし、ある時、目を開けば、それは、何かである、というような発見をする。そのための研究と創造の経験です。
ここでは、様々なことをします。アートだけでなく、解剖学や美学、デザイン、写真についても、教えます。パフォーマンスアートに必要なことは、そのメソッドから始まり、あらゆる角度から、創造性ということを学ぶことができます。そのためには、最低でも10日間は必要です。しかも、日程ごとの予定は予め、決めません。参加している生徒たちに、ふさわしいことをするために、その日その日のディスカッションを通して、翌日にすることを決めます。パフォーマンスである以上、そのような自由さが大事なのです。

Nina Wijnmaalen
Nina Wijnmaalen photo by Monika Sobczak

——— 美術系でない生徒にも教えるということですが、このプロジェクトに参加することが、彼等の将来や現在の生活にどんな役に立つと思いますか?

ヨハネス:パフォーマンスをつくるプロセスは、生きている中での問題を解決するプロセスに、適応しています。精神的な問題ではなくて、もっと基本的な問題です。どうやって生き延びるかとか、どう朝起きるかとか。彫刻や写真と違う点は、たとえば、パフォーマンスアートで見つけた方策は、生活の中で使うことができます。状況や形式が、ある意味、生活の状況と似ているのです。

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Marcel Sparmann
Marcel Sparmann

マルセル:私たちは、パフォーマンスアートだけを教えているわけではありません。創造性ということを教えています。まず、どうやって、そのプロセスを始めるか。そして、それは、個人的なプロセスをどう始めるかと同じなのです。2ヶ月ほどまえに、行なった10代向けのプロジェクトでは、13歳から19歳までの生徒たちが集まりました。アナという13歳の子は、ウクライナ出身で、最初、特に何かを話す子供ではありませんでした。ところが、最後のプレゼンテーションが近づくと、突然、彼女は彼女の個人的なことを話し始めたのです。彼女のバックグラウンド、ウクライナからドイツに来たこと、違った文化の中でどう生きているか、などを。そして最終的に彼女はすばらしいパフォーマンスをつくりました。「シフト」というタイトルで、自分が変わるプロセスを作品にしました。気に入ったイメージをそこへ持ってきて、自分に適応させ、再創造し、そして最後にはそのイメージを自分自身のものにしました。

—— それは、もちろん、セラピーではないのですね。

ヨハネス: 全く、違います。セラピーは、誰かが誰かの個人的な問題を解決するためのものですが、パフォーマンスアートでは、それを具体的に解決するわけではありません。私たちは、ソシャルワーカーでも、精神科医でもなく、アーティストです。私たちは、トピックを開く方法、つまり、人が気のつかない部屋の隅にあるようなこと、一般の人はざっとそこを表面的に見るけれども、私達は違う角度から見るということを促します。なぜなら、私たちの方法は「研究(studies)」だからです。たとえば人は、人生で何をしたらいいか判らなくなった時、葛藤しますね。その葛藤は、オリエンテーションであり、美であり、存在の証明そのものなのです。人は、道に迷う。パフォーマンスは、どのような「構造」を、個人的な人生に持たせたらいいかを、考えさせてくれます。

photo by Sakiko Yamaoka

マルセル:たぶん、それは、新しい言語を学ぶようなことだと言うことができます。たとえば、私が日本語を学ぶとします。勉強しなくてはならないし、本や辞書が必要です。勉強すれば、話したり、書いたりできるようになります。そして、翻訳方法、質問、感じ方の表現方法を学んで、自分自身を表現するのに、使うことができるようになります。自分がしようとしていることのイメージを表現する方法を増やしてゆけば、それは一種の辞書になってゆきます。それを使い、見つけたことや経験を話し、話題、質問などを話すようになれます。それは他の言語、アートという言語を使って、コミュニケーションができるようになるということです。そして、個人的なアプローチがスタート地点です。実のところ、内面では、たくさんの人が、同じ問題をかかえています。その言語によって、どのように何かをみつることができるでしょうか。それは、自分だけのためではなく、他の人のためでもあることがまた重要です。私もここで学んでいます。

—— ここでは、作品をつくり、パブリック化するというゴールがありますね。

マルセル:このプロジェクトでは、最後にプレゼンテーションをすることを重視しています。プロセスは、教育的かもしれませんが、私たちは、アーティスティックな展開を期待しています。ですから、最終的には、展覧会やパフォーマンスイベントを必ず行ないます。インビテーションカードやポスターをつくり、キュレーターや観客を呼びます。アーティストが作品を発表することと同じなのです。私たちは、生徒たちが作品を制作するための、ファシリテーターと言っても良いでしょう。今回のように、他のフェスティバルやアートイベントと共催することはよくありますが、両方のために、有益な方法だと思います。

photo by Sakiko Yamaoka

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アーティスト・ランのプロジェクト
(1) PALS (performance art links)
(3) PAE (Performance Art Event)
(Index) & 山岡佐紀子プロフィール

「アーティスト・ランのプロジェクト」山岡佐紀子によるインタビュー (1) PALS

photo by Sakiko Yamaoka

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PALS(パフォーマンス・アート・リンクス)

PALS(パフォーマンス・アート・リンクス)
http://www.palsfestival.se/

 今年が、その第1回であるストックホルムのパフォーマンスアートフェスティバル。デニス・ロマノウスキーDenis Romanovski、ラビサ・ヨハンソンLovisa Johansson、エリック・ヴィクストロインErik Wijkströmの3人のアーティストたちにより企画された。期間は、2012年4月17日〜22日。
デニスは、私が2003年にベラルーシの首都ミンスクでのパフォーマンスアートフェスティバルで会って以来である。ミンスクには、Navinkiというパフォーマンスアートフェスティバルがあり、彼はそのオーガナイザーの1人だった。そして、2006年に、彼はストックホルムに移住した。そして、新しい仲間を作り、たった6年で、フェスティバルを立ち上げた。そのたくましさに私は、すっかり脱帽。今回会った時、まず、おめでとうを言った。その間、私は何をしていた?
以下のインタビューは、PALSのフェスティバルが終わった翌日の4月23日に、デニスと行なった。途中からエリックが加わった。デニスは、いつもクールで、笑顔以外の感情を見せない人なのだけど、インタビューの書きおこしのために、ビデオを何度も再生して彼の言葉を聞いているうちに、その静かな語り口の奥の秘めたる情熱に気づき、私は、すっかり驚いてしまった。彼が「それなしには生きてこれなかったかもしれない」こととは何であろうか?
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デニス Denis Romanovski
デニス Denis Romanovski

—— ストックホルムでは、このところ、パフォーマンスアートが盛んになってきたようですね。理由は何だと思いますか?

デニス: いくつかの要因があります。まず、政治的に保守化して、助成の予算が減り、お金のかかる展覧会がやりにくくなってきていますが、パフォーマンスアートは低予算で、企画できるということがあると思います。それから、2年前にスェーデンのフルクサスについての本が出版されました。それがきっかけで、アート理論家やキュレーターたちが、パフォーマティビティ、インタラクションというトピックについて、興味を持つようになってきました。そして、いわゆるメジャーの展覧会でも、オープニングにパフォーマンスアーティストを呼ぶことが増えてきました。なぜなら、ハプニングやちょっとしたスキャンダラスなことは、一目をひき、人を集めます。しかし、この場合、やはりエンターテイメントやスクペクタルなものになりがちです。むしろ、より重要な要因としては、2006年から、ストックホルムで「Super Market」と言う名の、アートフェアが始まったことかもしれません。このフェアは、ノンコマーシャルです。アーティスト・ランのプロジェクトやアーティスト・ランのギャラリーが集まり、当初は、アートマーケットではないからと、「Mini Market」という名で、始めました。そして、国内外からグループが参加し、大成功をおさめたのです。それで2年目からはSuper Marketという名前に変わりました。このフェアで、昨年、私たちはパフォーマンスのプログラムをオーガナイズしました。そこで、40人のスェーデンのパフォーマンスを紹介し、たくさんの人に見てもらいました。この企画が、パフォーマンスが盛んになってきた大きな理由の1つだと言って良いと思います。

—— PALsはどのように設立できたのか、その経緯を教えて下さい。

デニス:その年は、それ以外にも、私たちは「No Budget Performance」という名のイベントを6回企画しました。予算はないけれど、参加したいアーティストたちには、自由にやってもらい、私たちはそのパフォーマンスのアレンジメントを行ないました。ストックホルムには、少ないながら、あちこちにパフォーマンスをするアーティストが出てきたのですが、皆、別々の活動をしていました。それらの人々をつなげたいと思ったのです。ヨーテボリやフィンランドのアーティストたちが参加しました。そうした経験を経て、私たちは、今回の国際的なパフォーマンスフェスティバルを開催する準備をしていました。

Bartolome Ferrando
Bartolome Ferrando photo by Denis Romanovsoki

—— パフォーマンスフェスティバルの開催は、社会へ、どんな貢献ができると思いますか?

デニス:まず、フェスティバルそのものが、社会へのデモンストレーションです。政治的なアクションでもあるのです。それから、具体的には、私たちは、教育面に力を入れました。パフォーマンスアートは、日常の生活でしていることと似ていますが、そのあたりまえの生活を一旦止めて、違う角度からの視線を持つ、良い機会です。パフォーマンスアートは、オルタナティブなコミュニケーションの方法を提供します。私達は、スェーデンだけでなく、フィンランド、ノルウエー、ドイツ、ポーランドなどでパフォーマンスを教えている先生たちに来てもらいました。あちらこちらの学校のアートのクラスとクラスに橋をかけ、生徒と生徒をリンクしました。フェスティバルは6日間で、そのうちの最初の3日間はワークショップでした。学生だけなく、社会人も参加しました。さらに、フェスティバルの最後の日は、12時間のフリータイムとし、生徒たちは、アーティストと混じって、自由な方法で、作品を発表しました。プロのアーティストたちと、同じ空間で、同じ状況で、作品をつくり、同等に話すのは、とてもいい経験で、一種の学校でもあったと思います。そしてまた、アーティストにとっても助けになります。若い世代の存在は、先輩のアーティストにいい効果があります。子どもたちは、親たちをしばしば、叩きますね。子どもたちが近くいれば、先輩のアーティストは、自分の作品に責任を感じるでしょう。

Yaoamoka work_Lef to us
Yaoamoka work_Lef to us photo by Denis Romanovsoki

—– どのようにアーティストを選びましたか。

デニス:パフォーマンスアートのネットワークの中で、会った事のある人たちを選んでいます。他のアーティストとのつながりを持って、アクティブに活動しているアーティストです。そして、さらにリンクを広げて行きたいのです。半分がスエーデンからで、半分を外国からというバランスをとっています。気持ちとしては、もっとたくさんのいろんなアーティストを呼びたいと思っています。選ぶのは辛い作業ですね。

——– あなたは、リンク、コネクトする、あるいは、ばらばらである、と言う言葉をよく使いますね。それはあなたにとって、特別なキーワードなのですか?イベント名にあるLinksというのは、どんな思いがこめられていますか。

デニス: パフォーマンスアートのフェスティバルは、人間ベースのネットワークがベースです。なぜなら、パフォーマンスアートの作品はアーティストに直接来てもらわないと成り立ちません。アーティストたちは、参加しながら、旅をして、ネットワークを編んでいます。私たちは、まず、スエーデンのアーティストたちをリンクすることから始め、彼等を、国際的なアーティストのネットワークに紹介しようとしたのです。人と人とをつなげるのは、すてきなことですよね。経験ないですか?誰かに会って、それはとても素敵な人だったので、そうだ、この人をあの友達に紹介しよう、きっとマッチすると思う、みたいなこと。私の経験で言えば、すばらしいアーティスト、すてきな人たちに会うと、エネルギーを感じ、私自身が、生き生きとしてきます。そして、そのこの経験が、私の人生を、どれほど、助けてきたたことかと思うのです。たぶん、私は、それなしには生きてこられなかったでしょう。

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エリック Erik Wijkström
エリック Erik Wijkström

エリック:そう。誰だって、誰かを捜しているのではないでしょうか? 自分とアイデアの似た人がどこかにいるかもしれないと。 それをやめてしまったら、一人で固まって、世界の中で孤立してしまいますよね。それに、とても違うタイプの人に会うのも、価値のあることだと思います。知識も得られるだけではなくて、それをシェアしあえれば、もっと豊かになれます。

—— 次回のフェスティバルで発展させたいことはありますか?

デニス:同じことを続けていって、ルーチンワークにはしたくはないと考えています。それでは、まるで、職業みたいになってしまいますから。私たちは、常に実験でありたいと思っています。そして、様々なトピックのアイデアを集めて、さらに、話題となることをしたいですね。

—— 今回の会場はとてもよかったですよね。

デニス:そうなのです、ここ、Fylkingen(フィリキンゲン)には、200人の素晴らしい会員がいます。実験音楽がベースのスペースです。ちゃんとしたオフィスがあって、スペースがあって、倉庫があって、カフェがある。理想的です。1930年代に設立された、歴史あるライブハウスなのです。私たちはフィリキンゲンのメンバーにも参加を呼びかけました。興味があったら、出演しませんかと。そして、4人出演してくれました。
エリック:ツアー型にしたらどうか、というアイデアもあります。
デニス:ラビサも含め、3人でよく相談し、次のフェスティバルを考えたいと思います。

ラビサ Lovisa Johansson
ラビサ Lovisa Johansson

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アーティスト・ランのプロジェクト

(2) PAS (PARFORMANCE ART STUDIES)
(3) PAE (Performance Art Event)

(Index) & 山岡佐紀子プロフィール