プチシンポジウム「鎌倉近代美術館がなくなる」とはどういうことか

kksympo

神奈川県立近代美術館鎌倉館の閉館を巡って開かれた第2回目のミニシンポジウムに参加しました。考えるべきことは何か?ナビゲーターから、会場からたくさんのテーマが出されました。議論は第3回目のシンポジウムに引き継がれるようです。動画をご覧ください。折しも鎌倉近代美術館では「大回顧展」が始まりました。

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日時:2015年4月12日(日)13~17時
会場:かながわ県民活動サポートセンター304号室
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f5681/p16362.html
資料代:300円
ナビゲーター:首藤教之さん、古澤潤さん、山野辺明さん
司会:宮田徹也
主催:鎌近のこす会(代表:宮田徹也/御崎史子)
協力:浅賀由香/高野洋一
お問合せ:宮田徹也 090-6347-0411 / nkbskmt★kve.biglobe.ne.jp(★→@)
フェスブックページ 鎌近のこす会 https://www.facebook.com/groups/kamakin/
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資料ダウンロード
チラシ
古澤・首藤資料
山野辺資料
神奈川臨調を考える
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1951年に、日本で初の公立近代美術館として生まれた神奈川県立近代美術館鎌倉館(通称・鎌近)が、2016年3月に閉館します。今日、世界的に評価の高い建物だけ残そうという声をよく聞きますが「公立の美術館としての現状を維持すべきだ」という意見は出ません。契約満了ならしかたがないというあきらめがあるのでしょうか。

確かに神奈川県は50年前の契約により、鎌近を壊して更地にした土地を鶴岡八幡宮に返還しなければなりません。すると、全ての判断は鶴岡八幡宮にあると思われますが、実は神奈川県は財政難を理由に美術館、図書館を含む文化施設の大半を手放そうとしています。

つまり、神奈川県は契約を理由に自らの愚行を隠蔽していると解釈できるのです。坂倉準三は美術館として機能するように、建物を設計しました。例えばプールはプールであって、プールを食堂にすることは出来ないのです。鎌近は公立の美術館でなければなりません。

今日、美術と関係のない暮らしをしている方々にとって美術は「高尚」だと敬遠され、美術に深く携わる人々は美術の自律性を求める為「政治」との関わりを厭います。しかし美術も政治も人間の営みとして考えると同じことであり、我々が生きることに不可欠なのです。

鎌近の建設当初の理念は、民主的な日本の美術を世界に発信し、世界の美術を日本で受信することにあったので、「鎌倉」という地域を限定することはありませんでした。つまり日本の民主主義の宝を鎌倉が保持し、世界に発信していると言い換えることができるのです。

この問題について皆様が意見を発言し、交換する場を設けました。活発な交流をしましょう。(宮田徹也)
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古澤 潤(ふるさわ・じゅん/1931年~)武蔵野美術学校卒業。日本アンデパンダン展、ヨコスカ平和美術展、イギリス・ミルトンキーンズ市で作品展示。主として個展で発表し続けている。

首藤教之(しゅとう・のりゆき/1932年~)1950年代後半に岡本太郎・武満徹・花田清輝ら主宰の「現代芸術の会」の活動に参加。1995年以後、福岡空襲をテーマにした焼夷弾のインスタレーション作品を各地で展示。個展、グループ展多数。

山野辺明(やまのべ・あきら/1945年~)福島生れ。18年間神奈川県の歴史編纂事業で県内各地を調査。教育・文化行政に永年従事。ヨコスカ平和美術展発起人。

宮田徹也(みやた・てつや/1970年~)横浜国立大学大学院修了。岡倉覚三、宮川寅雄、針生一郎を経て敗戦後日本前衛美術に到達。ダンス、舞踏、音楽、デザイン、映像、文学、哲学、批評、研究、思想を交錯しながら文化の【現在】を探る。
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鎌近のこす会とは?
私が週刊新聞新かながわで神奈川臨調の問題を掘り下げていた際に、浅賀さん、古澤さん、首藤さんと何か出来ないかと会は発足しました。私達の立場は当然、鎌近を公立美術館として残し、新館を補修して坂倉準三が設計したとおりの姿に拡充すべきだと思っています。廃館が決定されているとしても、市民、県民、国民の声によって覆せばいいのです。

それは私達の発想であり、単に残す/残さないという答えを出すのではなく、様々な方々の、様々な意見を民主的に交換したいのです。ですので「美術館に行ったことがない」「美術に興味がない」「税金の無駄遣いだ」という意見も尊重します。二ヶ月に一度ずつ行ないます。どなたでもお気軽にお越し下さい。(宮田徹也)
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part1報告:40人近い方々が参加しました。首藤さんが画家として「人に何かを伝えたい」と口火を切り、山野辺さんが鎌近設立当初の理念を解説し、古澤さんが1956年当時の画家達の苦悩を語り、会場からは建築の立場、開かれた会の方法論、出席して美術館に行きたくなった等、様々な発言が飛び出しました(きのおうち ゆるこや/2015年2月22日)。
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