「ヨコハマトリエンナーレ2011」記者会見 開幕! 紡ぎだそう、独自のストーリー

2011年8月5日(金曜日)「ヨコハマトリエンナーレ2011」記者会見が、横浜美術館にて14:00~15:00 行われた。関係者、登壇者のコメントから、本展開催への特別な思いや喜びが伝わってきた。

同日、内覧会とレセプションも開催され、プレス関係者、招待客など多くの方で各会場はにぎわった。

Ugo RONDINONE 《Our Magic Hour》2011


総合ディレクター 横浜美術館館長 逢坂 恵理子氏】

震災後の厳しい時期であったが、多くのアーティストに素晴らしい作品を出品して頂くとともに、多くのスタッフが「ヨコハマトリエンナーレ2011」の実現に向け尽力し、本展の開催ができた。感無量である。

展覧会タイトル「OUR MAGIC HOUR-世界はどこまで知ることができるか?-」は、この時期にふさわしいタイトルになったのではないか?

私達人間の力では掌握できないような世界の奥深さを前にして、謙虚な気持ちで世界に対して何ができるか? 人間として何ができるか? 国際展である本展を通して感じとってほしい。


【アーティスティック・ディレクター 三木 あき子氏】

横浜美術館のコレクションである近代絵画や浮世絵など歴史的な作品、妖怪グッズなど制作年代・素材の異なる多種多様な作品を展示している。屋内外77組のアーティストが参加、作品総計300点以上となった。

自由に創造力を働かせて、なぜ、この作品の横にこの作品があるのだろう?と考えつつ、独自の展覧会のストーリーを紡ぎ出してほしい。

東日本大震災後、ジュン・グエン=ハシツバ氏、オノ・ヨーコ氏、安部泰輔氏、島袋道浩氏、岩崎貴宏氏、荒木経惟氏をはじめとする 多くのアーティストによる新たなプランの提示があった。作品を通してメッセージを伝えたいという熱い思いが込められている。

荒木氏の《被災花》という作品は、震災により家を無くし避難所で過ごすおばあちゃんと孫娘に捧げる花である。


【クリスチャン・マークレー氏 / Christian  MARCLAY 1955年 カルフォル二ア州サンラファエル(アメリカ)生まれ】


1987年から来日しているが、2011年に日本で起きたことを考えると、特別なときに日本を訪問しているという感慨深い思いがある。


【イン・シウジェン氏 / YIN  Xiuzhen 1963年 北京(中国)生まれ】

本展を通して、多くのアーティスト・作品に出会えることを楽しみにしている。

本展は、様々な異なる認識が集まっているが、世界を知れば知るほど、世界の認識が欠けていることを私達は認識するのではないか?

会場で、「MAGIC HOUR」をみなさまが経験することに感謝している。


【田中 功起氏 / TANAKA  Koki 1975年 栃木生まれ、ロサンゼルス在住】

本展は、日本人作家が多く複数のジェネレーションが絡み合っている。

自らの活動を信じてきた粘り強い日本人アーティスト達が、本展に参加していることが従来の展覧会との違いである。

震災と原発事故の後で、僕たち一人一人が別な意見をもち、立ち上がらなければならない今の日本の現状は、現代美術にも当てはまり、自らの立場をもう一度見直すべきである。本展は、このことについて考えるためのヒントが十分提示され、そこに希望を見いだすことができる。展覧会を楽しんで欲しい。


【質疑応答】

Q: なぜ、この作品名を《タイム・ウオッチ》でなく、《CLOCK》とつけたのか?

A(クリスチャンマークレー氏):    作品名・タイトルは2次元的なもの。CLOCK は、パブリックな意味があり、TIME ・時間というと、一般的すぎるため。

Q : 作品の夜の時間帯は、いつ鑑賞できるのでしょうか?

A(クリスチャンマークレー氏): 各地とも、会期中に特別上映として1日のみ24時間上映されてきたが、現在は東日本大震災の後ということもあり、節電対策がとられ未定である。

A(逢坂 恵理子氏):会期中、10月以降、夜及び早朝に本作品を上映できればと考えている。ご期待ください。

Q : メイン会場に横浜美術館が選ばれたプロセスについて教えてほしい。

A (逢坂 恵理子氏) :   2009年、4月に横浜市としては、第4回ヨコハマトリエンナーレを横浜美術館を会場にして行いたいという意向があった。過去の横浜トリエンナーレの会場が毎回異なっていたので、会場のイメージを固定化する横浜市の意向に賛同した。

Q :横浜美術館の所蔵作品のコレクションを展示する手法が、本展の大きな特徴であるが、こういった展示手法が本展にどのようなインパクトをもたらしたか?

A (三木あき子氏): 横浜美術館は現代美術を専門にしている美術館ではない。多くの国際展では、新しい発見・旬のアーティスト達・新作にこだわる傾向があるが、いま一度新しさとは何か?を問い直してみたかった。美術館所蔵コレクション作品と現代美術作品を組み合わせて展示することにより、年代ものの名画が新しさを増し、新しい解釈が生まれるのではないか? との考えをベースに、現代美術作品はじめ異なるジャンルの作品・妖怪グッズをいれた形にした。

Q:国際交流基金が抜け、主催者に枠組も変更になった。5月26日の記者会見で、林市長がナショナルプロジェクトとしての継続性を意識したいと述べられたが、ナショナルプロジェクトとしての意識を展覧会に関わる方達が持っていたのか? 具体的な計画等教えてください。

A (逢坂 恵理子氏) :  今回は、本当の意味で本展にとって分岐点になったと思う。新しい視点・海外の方に日本の作家を紹介することを軸とした展覧会構成である。国際的な視点・ナショナルプロジェクトということよりも、ヨコハマトリエンナーレを通して、「日本」を多くの人に知ってもらいたい、海外の優れた作品を国内外の方々に知って頂きたい、そのことを継続して考えていきたい。

A (三木あき子氏) :  本展開催にあたり。国際性を問い直してみたい考えがあった。 国際展の方向性として、海外の作家を紹介するだけでなく、日本の作家も海外に発信する必要性を感じ、前回と比較すると多くの日本人作家の方にご参加頂いた。


<【感想】記者会見&内覧会に参加! 「ヨコハマトリエンナーレ2011」に思うこと>

まちにまった「ヨコハマトリエンナーレ2011」がスタートした。

聞こえてきそうな生命の鼓動、思わず笑みがこぼれる巧妙な仕掛け、 未来への大いなる希望 ・夢あふれる遊び心満載の空間、はかない瞬間の視覚化、テクニックを駆使しての挑戦 - 数々の素晴らしい作品に胸を踊らせときめきくとともに、その素晴らしさ故に時に絶句し、感嘆した。

来場者には、アーティスト魂かけて制作された作品に込められた作家達の思いを感じ、展示構成に着目しながら、ぜひ、ひとつひとつの作品をじっくりと鑑賞してほしいと切に願う。

東日本大震災と原発事故という二重のカタストロフィー(大災害)は、私達がそれまでもっていた価値観や人生観・世界観を変えた。このカタストロフィーは、私達にあらためて自己の存在の意味を問い、世界・時間との関わり、生と死について考えさせ、かつて人間文化の起源が自然との歩みから生まれた「無」の世界の内にあったこと、そしてそれは、芸術の原点であり芸術の根源的本質であることに気づかせた。

このことは、本展が私達に投げかける根底の問いに結びつくとともに、作品を読み解くことにつながるといえよう。

また、本展に横浜美術館収蔵作品を取り入れた試みにも着目したい。本展に来場する人々が芸術における財産ともいうべき、有名作家の優れた作品に触れる絶好の機会であるとともに、収蔵作品に新たな解釈や視点を盛り込み見解の多様化を示唆したと云え、その意義はとても大きい。今後の横浜美術館のコレクションの収集、収蔵作品の研究・学術的調査にも大きく影響を及ぼすであろう。

本展をどのようにアーカイブしていくのか? 横浜美術館コレクションに本展作品が加わることがあるのか?  本展終了後の動向にも着目するとともに、期待したい。

「ヨコハマトリエンナーレ2011 」11月6日まで開催!

期間中行われる講演会・イベント・連携プログラムにも、ぜひ、参加して本展を思う存分楽しみたい。

レポート・写真; チャーミー(梶原 千春)


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【「ヨコハマトリエンナーレ2011」記者会見】

2011年8月5日(金曜日) 14:00~15:00

横浜美術館 (神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1)

【「ヨコハマトリエンナーレ2011」内覧会】

2011年8月5日(金曜日) 13:00~18:00

会場:横浜美術館、日本郵船海岸通倉庫、ヨコハマ創造都市センター

【「ヨコハマトリエンナーレ2011」概要】

タイトル:「ヨコハマトリエンナーレ2011

OUR MAGIC HOUR -世界はどこまで知ることができるか?-」

総合ディレクター:横浜美術館館長 逢坂 恵理子

アーティスティック・ディレクター:三木 あき子

会期:2011年8月6日(土)~11月6日(日)

(休館日:8月、9月の毎週木曜日、10月13日(木)、10月27日(木))

会場:横浜美術館、日本郵船海岸通倉庫(BankART Studio NYK)、

その他周辺地域

開館時間:11:00~18:00 (入場は17:30)

主催:横浜市・NHK・朝日新聞社・横浜トリエンナーレ組織委員会

特別連携プログラム:BankART LIFE Ⅲ(新港ピア)、

黄金町バザール2011(黄金町エリア)

前売券発売期間:2011年6月1日(水)~8月5日(金)

全国のプレイガイド、コンビニエンスストアで発売中

入場料:<お得なセット券>特別連携セット券

・前売券 一般 1,400円 大学・専門学校生 900円 高校生 400円

・当日券 一般 1,800円 大学・専門学校生 1,200円 高校生 700円

<ヨコハマトリエンナーレ2011>

・前売券 一般 1,200円 大学・専門学校生 700円 高校生 300円

・当日券 一般 1,600円 大学・専門学校生 1,000円 高校生 600円

                                                

【関連サイト】

「ヨコハマトリエンナーレ公式サイト」

http://yokohamatriennale.jp/    

 

              

『ヨコハマトリエンナーレ2011 トリエンナーレ学校 第12回 「ヨコトリ2011見どころ講座 連携プログラム編① 黄金町バザール[2]』

「黄金町バザール2011」のディレクターであり、NPO法人黄金町エリアマネジメントセンター事務局長である山野真悟氏より、主なアーティストの出品作品について紹介があった。

 

<主なアーティストの出品作品について> 敬称略

*各アーティストについての詳細は末尾記載のHPでご確認ください。

 

安部 泰輔

 

 

2005年、2011年のヨコハマトリエンナーレ参加アーティストである。今回、黄金町バザール2011にも参加し、3ヶ月間毎日ミシンの前に座って公開制作を続ける。

 

 

 

雨宮 庸介

黄金町の特殊飲食店舗の空間で撮影した映像作品を展示。8月6日から作品公開。

 

遠藤 一郎

現在、東北の被災地でボランティアを行いながら、東北の人を横浜に連れtいく、横浜の人を東北に連れていく、という活動をしている。被災地における東北の活動を紹介する作品を予定しており、展覧会開催期間中も東北と横浜を往復する。

 

生成音楽ワークショップ + 杉山 紘一郎

9月2日 完成にむけて音のインスタレーション作品を製作する。楽器をつくるワークショップを予定している。

 

平井 豊果

参加アーティストの中で1番早い7月から製作を実施している。会期期間中、元特殊飲食店の壁と室内の中を白く塗りつぶしながら絵を描き続ける。

 

本間 純

 

 

何気なく歩いていると見落としてしまいそうな風景 に、ふと気づく瞬間がある。そんな瞬間を黄金町の街に意図的に 挿入するプロジェクト。

 

 

 

 

 

井出 賢嗣

8月6日より部屋一つ分のインスタレーション作品を滞在しながら製作する。

 

池田 光宏

《by the window》

 

 

 

映像作品と立体インスタレーション作品の2つを予定している。

 

 

 

 

 

加藤 翼

実在する建築物と同じ大きさの巨大構造体を制作 し、みんなで力を合わせて引き興すプロジェクトを行います。今回は福島県にある灯台の先端をモ チーフにした構造体を制作し、約100人で引き興 しに挑戦します。

 

サンティパープ・インコン=ガム

2011年、1月~2月にかけ黄金町でワークショップを行い、制作した作品を展示。今回の展示作品は、日本とタイと両方で製作されたものである。

 

北川 貴好

2008年の黄金町バザールの参加作家である。光を使った作品を出品する。

 

増田 拓史

今回公募で採用された、黄金町に入居しているアーティスト。黄金町の家庭料理をリサーチしたレシピブックレット「黄金食堂」を発行。ときに会場のどこかに屋台風の装置を出現させ、地域住民の人々とリサーチに基づいた料理の提供も行います。

 

松澤 有子

紙素材のもので、小さな植物の芽のようなものをワークショプで約1000個作成。それらを竜宮美術旅館の1室にインスタレーション展示。黄金町の過去が腐 葉土となり、新しい文化や命を芽吹かせようという思いが込められています。

 

野田 智之

小さなおもちゃ・いらないものなどを作品に作りかえるプロジェクトを行う。

 

マーク・サルヴァトゥス

マーク・サルヴァトゥス Mark Salvatus 《wrapped》

 

 

 

壁面に鉛筆でドローイングし、型をとり、クロスドハッチングした作品。

 

 

 

 

 

 

志村 信裕

昼と夜、屋内と屋外でそれぞれ場所の特性を生かした映 像作品を黄金町エリアの複数の場所に仕掛ける。そのス ローな映像の輝きが街の特徴を楽しげに映しだします。

 

関本 幸治

《DreaManager》2011

 

 

黄金町レジデンスのアーティスト。撮影する空間を自ら制作し「人の心の微震」をテーマに写真作品を展示します。今 回の作品は、ある少女の旅に出かける前の希望と不安を黄金町という街に投影し表 現します。un:ten(伊東純子)が少女の7つの衣装を制作。

 

 

 

 

スッティラット・スパパリンヤ

《welcome LOVELINKDOLLS-YourVoice》2010

ユーモア溢れる表現で、観る人の参加を促す演 奏会のようなインスタレーション作品を制作しま す。日用品で作られたモビールをそっと揺らしてみ てください。カラフルな人形から流れる音と重なっ て新しい音楽が生まれます。

 

瀧 健太郎

旧作と新作の両方を展示予定。

 

牛島 均

遊具の要素を作品の中に取り入れた「遊具であ り、彫刻でもある作品」を制作。カラフルなパイ プを組み合わせた幾何学的な構造物が軽快な空 間を演出します。

 

田村 友一郎

観る人を” 世界”へと連れ出すこの映像は、世界 的なウェブサービスで提供されている画像で構成 されています。今回は黄金町の車庫を出発地とし た新作の上映です。

 

アーティスト紹介から思うこと】

黄金町バザールでは、展覧会タイトルを「まちをつくるこえ」と題し、8月6日(日)と 9月2日(金)を目標にアーティストは作品を制作する。9月2日(金)が全ての作品が完成される予定である。

完成された作品を楽しむとともに、公開制作で制作を続けているアーティストの制作過程をみるのも楽しみにしたい。ここで制作しているアーティストにとって黄金町はどんな影響を与えているのか? 制作中の作品が完成へと向かう過程から、アーティストがこのまちから受けた影響や変化を感じることができるだろうか?

制作過程を暖かく見守るとともに、完成された作品に込められたアーティストからのメッセージもしっかりと受けとめたい。

 

取材記事執筆 チャーミー/梶原 千春  写真:NPO法人黄金町エリアマネジメントセンター提供

 

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【ヨコハマトリエンナーレ2011 トリエンナーレ学校 第12回   「ヨコトリ2011見どころ講座 連携プログラム編①」】

日時: 6月29日(水)19:00~20:30※事前予約制

場所: ヨコハマ創造都市センター(YCC)3階スペース

http://www.yaf.or.jp/ycc/access/index.php

講師: 山野真悟(黄金町バザール ディレクター/ NPO法人黄金町エリアマネジメントセンター事務局長)

 

【「黄金町バザール2011 まちをつくるこえ」 概要】

開催日時: vor.1  2011年8月6日〜8月31日

vor.2  2011年9月2日〜11月6日

会 場 :   京急線日の出駅から黄金町駅の間の高架下スタジオ、 周辺のスタ         ジオ、 既存の店舗、屋外空地、他

休場日 : 8月・9月の毎週木曜日、10月13日(木)、10月27日(木)

入場料 : 黄金町バザール2011会期中有効フリーパス(一部無料会場)当日高          校生以上500円/中学生以下 無料

主催 : 黄金町エリアマネジメントセンター、初黄・日の出町環境浄化推進                          協議会

 

【『ヨコハマトリエンナーレ2011  トリエンナーレ学校 第12回 「ヨコトリ2011見どころ講座 連携プログラム編① 黄金町バザール[1]』  】

https://takearteazy.wordpress.com/2011/08/21/koganechobazaar/

 

【黄金町バザール】

http://www.koganecho.net/

 

 

『ヨコハマトリエンナーレ2011 トリエンナーレ学校 第12回 「ヨコトリ2011見どころ講座 連携プログラム編① 黄金町バザール[1]』

2011年6月29日に 『ヨコハマトリエンナーレ2011 トリエンナーレ学校 第12回「ヨコトリ2011見どころ講座 連携プログラム編①」』が、ヨコハマ創造都市センターにて開かれ、黄金町バザールディレクターであり、NPO法人黄金町エリアマネジメントセンター事務局長の山野真悟氏より、黄金町バザールの開催概要、本展の特徴、黄金町の歴史主な出品作家の予定作品について説明があるとともに、 参加アーティストのさとうりさ氏より、これまでの活動・出品予定作品について話があった。

 

黄金町バザール 山野 真悟氏】

東日本大震災の前は、もう少し違うことを考えていて、かなり悩んだが、もう一度まちをつくるということを捉え直そう!いろんな声が集まって街がつくられるんだというメッセージを込めて、 黄金町バザールの展覧会のタイトルを「まちをつくるこえ」とした。

本展の開催にあたり、新しいスタジオ2カ所と新しい広場が作られ、今回の主会場となる。施設の数が途中から増えるのに伴い、作品を移動したり、追加したりして、作品の数を増やし変化させていく。

また、9月2日を目標に製作するアーティストと、8月6日を目標に制作するアーティストがいるが、9月2日は、黄金町バザールにおける全ての作品が完成となり展示されるお披露目の日としている。主催者の希望としては、8月に1度きて、製作途中の過程をみるとともに、9月に出来上がったものをみて面白さを感じてほしい。

40組のアーティスト、建築家7組、カフェやショップが参加する。高架下では、150店舗が営業し、お店にもアーティスト作品を展示したり、サービスを提供する。また、学生プロジェクトとして、この地域の古い時代の写真を集め、まちの博物館として運営も試みる。

展覧会を通じ、現在、この地域ですすめられているマスタープランについて、改めて見直すとともに、将来この街がどうなっていくのか? 3年後は? 5年後は? について想定し、ビジョンをもてるような討論をしていきたい。アート展というだけではなく、街づくり的な要素にも、ぜひ着目して欲しい。

【黄金町で開催に至る背景】

2005年1月まで、日の出駅〜黄金町駅の鉄道の高架下に売春の店舗がずっと約200軒密集していたが、警察による一斉撤去が行われ売春店舗が閉店した。売春していた施設が空き家になったところを横浜市が借り上げて改修し、NPO黄金町エリアマネジメントが借り上げて改装したり整備し、アーティストへ貸し出す事業に発展させた。

【黄金町バザールの主な特徴】

(1)今回、初の試みとして参加アーティストの公募を行い、黄金町と今までご縁のなかったアーティスト9組が選考された。アーティストが泊まり込みをしながら製作する滞在型の公開製作と、横浜を拠点にもつアーティストが通いながら製作する通勤型の公開製作もある。

(2)アジアのネットワークとして、アート×コミュニティに関わるアジアのキュレーターやアーティストによるシンポジウムを9月に開催する。

(3)おもてなしプロジェクトとして、高架下スタジオに街の商店が出店し、商品販売や飲食の提供を行う。 また、地域にあるお店やNPOの入っている施設にパスポートを持参すると、商品割引やサービスなどの特典が受けられるシステムを構築する。

(4)黄金町バザールがはじまるずっと前から地域の人達、行政・警察の皆さんがまちづくりに取り組んできた歴史と成果をみることができる「まちづくりプラン」を展示する場所をつくる。

(5)高校生以上、500円の入場料を必要とする有料会場を設置した。 レクチャーやレストラン、ビアホールと様々な活用を試みる新しく建設中の高架下スタジオ、元旅館であった木造の建物を改修しシンポジウムを開催する竜宮美術館、元売春宿であった違法建築な空間の大幅なリノベーションを行った八番館隣の3箇所である。

(6)ヨコハマトリエンナーレ2011 との連携 ヨコハマトリエンナーレ、新港ピア、黄金町バザールを結ぶシャトルバスの運行、広報面での相互協力をはじめ、ヨコハマトリエンナーレ2011を鑑賞した後にお客様が黄金町にくることを想定し、終了時間を本展より1時間遅い 19:00 に設定した。また、休場日もトリエンナーレにあわせた。

(7)地域の美術・モノを調べた第三者の目線による、黄金町エリアマネジメントセンターの英語のホームページを作成を行い、今後の活動や地域のプロジェクト活動への発展につなげる。

【出品作家 さとう りさ氏】

立体作品を作って、ポンと黄金町に置くよりは、高架下エリアで滞在製作をし、会期中に作品を変化させる。作品にたたずめたり、時間を潰せるような居場所的な作品をつくりたい。

滞在制作期間  

8月6日(土)〜9月1日(木)

 

 

〜これまでの活動〜

千葉三井レジデンスのマンション群に50体が作り出す影を作品とした《カゲモシャ》がある。これは、マンションができる前に誰も住んでいなかった野原であることを知り、自分達がここにきて初めて住む人間だと思うのは寂しいと感じたので、パラレルワールドのように空想の世界があり、そこに住民が住んでいたという設定で製作し設置した。

静岡県のヴァンジ彫刻庭園美術館で、イタリアのお祭りからヒントを得たインフィオラータが開催され、400名のボランティアとともに、チューリップの花を花材製品のオアシスに挿し大きな花を描いた。この製作は、お花を扱う楽しさを知った、感動的な体験であった。 幼稚園の100周年イベントで製作した。

『「フォー」は、4人めがみている人』という意味を含み、小さいときしか他人とくっいていられないから、園児たちに今を大事にしなさいというメッセージ込めて制作した。

 

*主なアーティストの紹介については、『ヨコハマトリエンナーレ2011  トリエンナーレ学校 第12回 「ヨコトリ2011見どころ講座 連携プログラム編① [2]』を参照願いたい。

 

【質疑応答】

Q: サポーターが参加できるマップづくりの予定はありますか?

A  :   既にマップ制作がほぼ完成の段階であり、サポーターが現時点から制作に関わることはできない状態である。

 

Q :   黄金町バザールに参加されたアーティストから、黄金町エリアによる影響やエンスパイアされたことを聞いているか?

A : 黄金町に長期滞在し制作しているアーティスト・普段そこで生活・活動をしている人達にとっては、日常的な光景・感覚になっているけれど、短期滞在制作者にとっては、不思議なまちであり、リピーターが多いのが現状である。アーティストからのはっきりとした具体的な言及はないけれど、黄金町は、いろいろな影響をアーティストに与えていると思う。

 

Q: 技術面・文章などを含めて、Web上のサポートは必要ないですか?

A :   サポーターの皆さんに、会期中の出来事や作品の感想などの原稿を書いて頂き、ブログサイトに掲載したい。

 

【「ヨコトリ2011見どころ講座 連携プログラム編①」黄金町バザール』に参加して】

まちの魅力は、多種多様な機能・形態をもち商業・芸術文化活動がコンパクトにそのまちに存在しているときに感じられるものだ。売春宿街であったまちは、黄金町バザールの継続的な積み重ねを契機により、魅力的なまちへと変貌していく新たなステージへのスタートをきったことを感じた。

高架下のスタジオ建設をはじめ、オフィス・店舗・アーティストレジデンスなどを街路に組み込むと同時に、物理的・心理的にも、まちのコアな場所となる芸術的効果もある広場の建設を取り入れた黄金町のまちづくりの構造システムは、街路をヒューマンな生活空間としてとらえ、まちづくり効果への貢献も考慮されている。

今回、訪れる人々がアートを楽しむともに、その地域に住む人々が地域の歴史を伝える場をつくり、有料会場をはじめとする何度でも足を運べるパスポート、地域商店の出店による飲食の販売などによる経済効果が期待できる仕組みを構築したことは、このまちの発展へと結びつく足がかりとなったと思う。

一方、建築家・アーティストがこの地域に滞在し、制作をすることは、建築家・アーティストが「作品をつくる」「展示する」こと以外に、まちづくりの要素がどうしても絡んでくると思う。ここで制作する建築家・アーティストは、その点についてどのように考えているのだろうか? 滞在する建築家・アーティストについての制作活動の記録及びそれらが情報提供される場があってもいいのではないか? この地域から建築家・アーティストが受ける刺激性、地域との関係性に着目した生の声をぜひ聞いてみたい。

まちづくりには、10年、20年の長い時間がかかる。黄金町バザールが、地域に住む人々の声に耳をかたむけ、ここに関わるアーティストの声を集め、周囲の環境になじませた建築・環境デザインも意識しながら、様々な関係を考えて議論を重ね、実験的に活動を重ねていくことに期待したい。黄金町バザールにおける様々な実験的な取り組みに着目しながら、大いに楽しむとともに、このまちの変遷も読み取りたい。

 

取材記事執筆・写真 :チャーミー/梶原 千春

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【ヨコハマトリエンナーレ2011 トリエンナーレ学校 第12回   「ヨコトリ2011見どころ講座 連携プログラム編①」】

日時: 6月29日(水)19:00~20:30※事前予約制

場所: ヨコハマ創造都市センター(YCC)3階スペース http://www.yaf.or.jp/ycc/access/index.php

講師: 山野真悟(黄金町バザール ディレクター/ NPO法人黄金町エリアマネジメントセンター事務局長)

 

【「黄金町バザール2011 まちをつくるこえ」 概要】

開催日時: vor.1  2011年8月6日〜8月31日

vor.2  2011年9月2日〜11月6日

会 場 :   京急線日の出駅から黄金町駅の間の高架下スタジオ、 周辺のスタ         ジオ、 既存の店舗、屋外空地、他

休場日 : 8月・9月の毎週木曜日、10月13日(木)、10月27日(木)

入場料 : 黄金町バザール2011会期中有効フリーパス(一部無料会場)当日高       校生以上500円/中学生以下 無料

主催 : 黄金町エリアマネジメントセンター、初黄・日の出町環境浄化推進                          協議会

【黄金町バザール】

http://www.koganecho.net/

 

 

 

「ヨコハマトリエンナーレ2011」第3回記者会見[3] 多種多様な作品が創りだす、意外な「遭遇・出会い」

「ヨコハマトリエンナーレ2011」アーティステック・ディレクターの三木あき子氏より、展覧会の特徴ポイントと一部の参加作家とその作品についての紹介があった。

【展覧会について】

展覧会には、円・サイクル・見えるもの・見えないもの・儀式・錬金術・奇妙な風景、といろいろなキーワードが見受けられる。震災後は、生と死・鎮魂・祈りへの関わりが深まった作品が出展される傾向となった。  

【参加作家】

ウーゴ・ロンディノーネ /Ugo RONDINONE 1964年 ブルンネン(スイス)生まれ。ニューヨーク在住。

幻想的且つムーディな風景を作り出す手法で知られる作家である。1月・2月と月を表したアニミズム的・シンボロイズムな巨大なマスクのような彫刻郡12体12ヶ月で構成された作品《moonrise.east.》を横浜美術館の屋外の現実的空間から横浜美術館に向かう形で展示する。

ヨコハマトリエンナーレ2011の初回チラシに掲載の作品《moonrise.east.marchi》は3月をイメージした作品である。展覧会タイトル作品《Our Magic Hour》は、横浜美術館の屋上に設置予定である。

シガリット・ランダウ/Sigalit LANDAU 1969年 エルサレム(イスラエル)生まれ。テルアビブ在住。 

今年の第54回ヴェネツィア ビエンナーレ イスラエル館代表である。しばしば自分の身体を用いて痛みを伴う歴史・記憶に言及しつつ人間の存在を問うような作品を発表している。塩分の多い死海で行ったパフォーマンス映像と彫刻のインスタレーションを展示する。

マッシモ・バルトリーニ/Massimo BARTOLINI 1962年 チェーチナ(イタリア)生まれ。同在住。

特定の環境をつくり出す作品をつくる作家。工事現場の足場で組まれるパイプを用い、近づくと、パイプオルガンのような音が聴こえてくるような作品。工場現場と教会と美術館がミックスされたような不思議な空間をかもしだす。

クリスチャン・マークレー/Christian MARCLAY 1955年 カリフォルニア州サンラファエル(アメリカ)生まれ。 ロンドン、ニューヨーク在住。

CDを床にひきつめたりと音楽関連の作品で有名な作家。今回出展される大作《The Clock》は第54回ヴェネツィアビエンナーレで「金獅子賞 最高優秀作家賞」を受賞。莫大な数の古今東西の映画から時間を示すシーンを集めてそれをつなぎあわせた24時間の作品である。展覧会期間中、横浜の時間に合わせた上映で時計としても機能する。記者会見では、本人からのビデオメッセージが公開された。

ジュン・グエン=ハツシバ/   Jun NGUYEN-HATSUSHIBA 1968年 東京都生まれ。ホーチミン(ベトナム)在住。

Jun NGUYEN-HATSUSHIBA 《Breathing is Free: JAPAN, Hopes & Recovery 2011   Photo:NguyenTuan Dat / Nguyen Ton Hung Truong Courtesy the artist and Mizuma Art Gallery                            

街を走りながら、地球のドローイングを描くプロジェクトを展開している。これは、移動をしいられる難民の人々の痛みを身体で図ろうとするコンセプトから生まれ、走る道筋で絵を描き、街の異なる見え方も提示した作品である。当初、8月6日からヨコハマトリエンナーレがスタートすることをふまえて、菊の花の形を描き広島へのメモリアルにしたいとしていた。東日本大震災後、いてもたってもいられなくなり、ホーチミンを走りはじめるとともに、ホーチミンで走って描いた桜の形と横浜のサポーター達が走って描いた桜の姿を合体する形に作品《Breathing is free》の内容を変更した。震災で被災した人々が、日本のみんなが元気をとりもどせるようにヨコハマトリエンナーレで花を咲かせる。

製作過程はFacebookでチェックできる。記者会見では、本人からのビデオメッセージが公開された。

田中 功起/TANAKA Koki 1975年 栃木県生まれ。ロサンゼルス在住。

日常の素材を用いて世界の構造・多様を独自の視点で探ろうとするプロジェクト、インスタレーションで知られる作家。今回、美術館内の展示台・いす・机などを使いそれらをどのように組み合わせて展示するのか、美術館に異なる視点を提示するスタンスも面白い。

ジェイムス・リー・バイヤース/James Lee BYARS 1932-1997年 ミシガン州デトロイト(アメリカ)生まれ。カイロにて没。

97年に亡くなった作家。作品の中に一瞬で消えてしまうような「はかなげな機能」をもち、近年再評価がすすむ。今回、《Five Points Make a Man》5つの点が人間をつくるというタイトルに基づいたパフォーマンス・インスタレーションを展示。このパフォーマンスは全てどのようにやるか決められていたが、作家は実際のパフォーマンスを見ることなく亡くなった。

N.S.ハルシャ/N.S.Harsha 1969年 マイソール(インド)生まれ。同在住。

2008年第3回アルテス・ムンディ大賞を受賞。グローバル化に伴う社会・政治的課題・環境問題などの現代テーマを色彩豊かで繊細なイメージの中で扱う。今回、横浜美術館館内のカフェ内に食べること、食に関連する作品を発表。食を分け合う・与えあう・一緒に食べる、そういったものに関係する何かマジカルな瞬間を提示していく。

ヘンリック・ホーカンソン/Henrik HÅKANSSON 1968年 ヘルシンボリ(スウェーデン)生まれ。 フォルケンベルグ、ベルリン在住。

カエルや鳥などの生態を記録したり、植物などの自然を展示空間に持ち込む作家で知られる。世界は人間の視点から理解するのが大事なのではなく、他の植物や静物から見る視点を捉える試みで知られる。樹木・植物の生命力に注目した木を使ったインスタレーション作品を展示予定。

孫遜(スン・シュン)/SUN Xun 1980年 遼寧省阜新(中国)生まれ。北京在住。

横浜で滞在制作もしたことのある中国を代表する若手作家。常に社会の変化を問い続けるような作品で知られる。ヴェツィア ビエンナーレにも出展された大作《21G》を出展。5年の歳月をかけて、1万点以上のハンドローイングをつなぎあわせたインスタレーションで横浜美術館のコレクションと組み合わせた形で展示される。《21G》は、人間が死んだとき魂の重さ21gだけ体重が軽くなることをあらわす。

リヴァーネ・ノイエンシュワンダー/   Rivane NEUENSCHWANDER 1967年 ベロ・オリゾンテ(ブラジル)生まれ。同在住。

普段、我々が見逃しているもの、言葉にならないコミュニケーション・物事の余韻を視覚化したり音にしたりする作品で知られている。黒いタイルの上にベビーパウダーを撒いて掃くことにより虹模様を描いたり、虹の凸凹を浮き彫りにし、視点を変えれば世界は違って見える、変わって見えることを示す。

今回は新作と《O inquilino/The Tenant》の映像作品を展示予定。

カールステン・ニコライ/Carsten NICOLAI 1965年 カール・マルクス・シュタット(ドイツ)生まれ。 ベルリン、ケムニッツ在住。

Carsten NICOLAI 《autoR》 2010 ! Photo: René Zieger ! Courtesy Galerie EIGEN + ART, Leipzig/Berlin and The Pace Gallery

マルチメディア作品で知られる作家。横浜美術館前の建設中の施設の工事の囲い壁に鑑賞者が幾何学模様のパーツを自由に組み合わせ、作家のコントロールを超えて増殖していくイメージ・混沌とした表裏一体化の表現を狙う。屋外と日本郵船海岸通倉庫(Bank  ART  Studio NYK) の中に作品展示予定。

杉本 博司/SUGIMOTO Hiroshi 1948年 東京都生まれ。ニューヨーク在住。

日本を代表とする写真作家。仏像・化石・造形物・劇場など悠久的時間の中で作り上げた造形美術を集めて独自の視点と美意識で再構築した作品を発表し、国際展出展作家として評価が高い。今回、本人の写真と他を建築的に組み合わせた構成で、鑑賞者に新たな視点を提案している。

デワール & ジッケル/DEWAR & GICQUEL ダニエル・デワール:1976年 フォレスト・ディーン(イギリス)生まれ。パリ在住。 グレゴリー・ジッケル:1975年 サン=ブリユー(フランス)生まれ。パリ在住。

Dewar & Gicquel《Otter and Trout》 Private collection, Paris, France View of the exhibition Dewar &Gicquel, FRAC Basse Normandie, Caen, 2007 Photo Marc Domage COURTESY GALERIE LOEVENBRUCK, PARIS

古代から現代に至る様々な神話・ポピュラーなイメージを異種混同させて、動物彫刻的な作品を製作する作家。人間が本来持つ原始的なエネルギーを作品で表現したい、と現地フランスでインスタレーションを制作中。横浜美術館と日本郵船海岸通倉庫(Bank ART Studio NYK)に展示予定。

イェッペ・ハイン/Jeppe HEIN 1974年 コペンハーゲン(デンマーク)生まれ。 コペンハーゲン、ベルリン在住。

Jeppe HEIN《Smoking Bench》 2002 Installation view at ARoS, Denmark, 2009 Photo by Ole Hein Pedersen Courtesy: Johann König, Berlin, 303 Gallery, New York and SCAI THE BATHHOUSE, Tokyo

観客との関係を生み出すユーモアあふれる作品で知られる。金沢21世紀美術館で個展を開催中。会場で鑑賞者に体験してもらう参加体験型作品を展示予定。「震災後のこの大変な時期に、一瞬でも苦しいことを忘れてくれたり楽しんでもらったり、ちがうことを考えてくれたら嬉しい。」と作品に思いを込める。

前田 征紀/MAEDA Yukinori 1971年 日本生まれ。日本在住。

光・空間・宇宙などをテーマに取り扱いしている作家。今回は新作を発表する。

ミルチャ・カントル/Mircea CANTOR 1977年 ルーマニア生まれ。地球在住。

物理的・心理的動揺を引き起こすような作品で知られる作家。女性が延々と床を掃き続けるハピネスな《Tracking Happiness》はじめ、いくつかの作品を展示。作品を通じて、コンピューター社会における情報・そうした状況を身体的に理解しようと試みる。

野口 里佳/NOGUCHI Rika 1971年 埼玉県生まれ。ベルリン在住。

独特の距離感・空気感が漂よう数多くの写真を撮影している。今回は新作を発表する。

アピチャッポン・ウィーラセタクン/   Apichatpong WEERASETHAKUL 1970年 バンコク(タイ)生まれ。チェンマイ、バンコク在住。

『ブンミおじさんの森』でカンヌ映画祭パルムドール受賞。《PRIMITIVE》プロジェクトの中からインスタレーションを出品。

荒木 経惟/ARAKI Nobuyoshi 1940年 東京都生まれ。同在住。

都市風景・花の描写・エロスを浮き彫りにする作品で知られる。「死と生」「円転界」「Magic Hour」「花を捧げる」といった幾つかのキーワードを柱に展示。

トビアス・レーベルガー/Tobias REHBERGER 1966年 エスリンゲン(ドイツ)生まれ。フランクフルト在住。

ポップでカラフルなインテリアデザイン的作品・映画や光に言及した多様な作品で知られる。ランプの光が遠隔地の知らない場所で人の動きで点灯し、誰もがもつある種の無意識を視覚化するような作品を展示する。

蔡佳葳 (ツァイ・チャウエイ)/TSAI Charwei 1980年 台湾生まれ。パリ、ニューヨーク、台北在住。

豆腐・タコ・きのこなどにお経を書き続けるパフォーマンス映像で知られる。文明と自然の関係から、環境と歴史のはかなさを問いかけるとともに、そこに在るマジカルな瞬間を浮き彫りにする。

今村 遼佑/IMAMURA Ryosuke 1982年 京都府生まれ。同在住。

一見何もないギャラリー空間が作品である。そこで行われた様々のイベントの中でおきたささやかな出来事やそこにあった空間を「記憶」として思い出させ、空間と人間の五感の関係から生まれつむぎだすものを感じさせる。

マイク・ケリー/Mike KELLEY 1954年 デトロイト(アメリカ)生まれ。ロサンゼルス在住。

オカルトなどで知られる著名なアメリカの作家。スーパーマンなどにでてくる架空都市をはじめとした誰もが知っているストーリーの舞台でありながら、多様性を極める町中を立体的に再現する《Kandor City》を展示する。

ダミアン・ハースト/Damien HIRST 1965年 ブリストル(イギリス)生まれ。デヴォン在住。

アート界にセンセーションを巻き起こす作家。作品には科学と宗教のアイデオロギーがしばしば用いられる。今回は、バタフライペインティングと呼ばれる何千もの教会のステンドグラスを模した蝶の羽が曼荼羅のようなパターンを描いた作品を数点展示する。

薄久保 香/USUKUBO Kaoru 1981年 栃木県生まれ。東京都在住。

一見リアルだが、どこか夢のような幻影の作品を発表している。虚構と現実空間の曖昧さに着目し、現代のリアリティの問題を共有している作品である。

ONO Yoko Courtesy of Yoko Ono

                                                    

オノ・ヨーコ/ONO Yoko 1933年 東京都生まれ。ニューヨーク在住。

今年、第8回ヒロシマ賞受賞。当初、広島に関するシンボリズムな作品を展示予定であったが、「こういうときだからこそ、できるかぎりのことをやりたい。」と東日本大震災後のシンボリズムを表現するような新しいインスタレーション作品を出展することとなった。                                                                             

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                

ライアン・ガンダー/Ryan GANDER 1976年 チェスター(イギリス)生まれ。ロンドン在住。

非常に幅広い作品をつくるイギリスの作家。球に関連した2つの異なる作品を展示予定。

湯本豪一コレクション/   YUMOTO Goichi Collection

日本最大といえる妖怪コレクター。今回は歴史的絵巻から現代のパチンコ台までの一部を紹介する。時代を超えて人々を魅了し続け、現代に脈々と引き継がれきた妖怪文化の謎とその不思議な存在にせまる。

ピーター・コフィン/Peter COFFIN 1972年 カリフォルニア州バークレー(アメリカ)生まれ。 ニューヨーク在住。

公的には認められていない世界中にあるミクロネーションを紹介するようなプロジェクトを展開したり、UFOまがいの物体を飛ばすことでUFOそのものを社会的見地から分析することで知られる。植物の育成には音楽を聴かせることが有効であるのかを試す作品《Unititled (Greenhouse) 》を横浜創造都市センター(YCC)に展示する。これは、ミュージシャンが実際にライブ形式で音楽を聴かせるが、あくまでも、人に聴いてもらうのではなく植物に聴いてもらうためのコンサートである。                                                                                            

【作家発表!「ヨコハマトリエンナーレ2011」開催について思うこと】

東日本大震災で多くの命・建造物・文化・自然が失われた。経済・社会・生活への影響も色濃くなお残る。このような状況下で、私達は必然と人と自然の関係性や生き方・価値観・科学技術の発展の恩恵とそれに反した危険性について、あらためて考えさせられた。この経験は、全人間的ヴィジョンをもちながら本展の作品をより深く「視る」ことにつながるとともに、本当の世界観や人間文化の根源にあるアニミズムの心性への理解となるのではないか?

そういった意味からも、「ヨコハマトリエンナーレ2011」は、今の私達に必要なことが詰まった、まさに、タイムリーな展覧会であると言えるだろう。

「OUR MAGIC HOUR-世界はどこまで知ることができるか?-」

私達は、何を感じ、知るのであろうか? 期待に胸を膨らませ、ワクワクしている。                       

レポート; チャーミー (梶原 千春) 写真提供; 横浜トリエンナーレ組織委員会事務局

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【関連サイト・記事】

<ヨコハマトリエンナーレ2011 第3回記者会見資料>

http://yokohamatriennale.jp/pdf/200110526releaseW_ja.pdf               

「ヨコハマトリエンナーレ2011」第3回記者会見[1]    大きな愛を届けたい、アートの力を新たな希望の架け橋に

https://takearteazy.wordpress.com/2011/06/05/the-third-press-conference/

 

「ヨコハマトリエンナーレ2011」第3回記者会見[2] アーティスト魂かけて生み出される新たな視点