桜木町ガード下、グラフィティの「聖地」がまるで刑務所の壁のようにグレーに塗られていた。下の写真は2008年撮影の同地。
アートを権力の管理下におこうとする試みは失敗する。自由で多様な精神はコントロールしようとするのではなく、上手につきあうことだ。それには特別な才能を必要としない。相手を認めてよく理解すること。排除しないこと。そして、必要なものを提供して、成果を求めない。何よりもアートを知ったかぶりしないことだ。
横浜は2005年に「聖地」のお株を水戸にとられた。桜木町で活躍(?)したアーティストたちをフューチャーして大規模なグラフィティの展覧会を水戸芸術館が企画したのだ。それはちょうど横浜トリエンナーレ2005の年、そして皮肉にもそのシンポジウムを川俣正氏が横浜で開催した。以下はそのレポートです。(Ushinosuke)
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はまことりWeb アーカイブ
[レポート]横浜トリエンナーレ2005 & X-COLOR/グラフィティ in Japan 連動シンポジウム「ストリートにおける表現の可能性」
http://www.ycan.jp/archives/2005/11/2005_xcolor_in.html
水戸芸術館で今、「X-COLOR/グラフィティ in Japan」という画期的な展覧会が開催されている。「ミトゲイ」はいつもまっ先に新しいことをやってくれるので大好きだ。ミトゲイで打ち出された新しいコンセプトが、しばらくすると東京の美術館やギャラリーで2T(ニーティー=二番煎じ)されるのことがままある。今回は「グラフィティ」落書きだ。日本中の落書き小僧40人を選りすぐって、美術館の中だけでなく、水戸の街中にライブペインティングさせるという日本初の大規模な展覧会だ。
●X-COLOR/グラフィティ in Japan
2005年10月1日(土)→ 12月4日(日)
水戸芸術館現代美術ギャラリー+中心市街地
http://www.arttowermito.or.jp/
「落書き小僧」というのは失礼な言い方だったが、グラフィティはアートか?という問いかけがシンポジウムでまずあり、すぐさま、アートだという定義がなされたので、今後は「グラフィティ・アーティスト」と呼ぶことにしよう。キース・ヘリングを持ち出すまでもなく、アメリカでは前世紀からグラフィティはアートだと決まっているのに、何故日本ではそうじゃないのか?ということがこのシンポジウムの隠れたテーマだと感じた。
そして、何故このシンポジウムが横浜で行われるのか?というのを聞きそびれてしまった。いろいろな思惑が重なっての事だろうが、横浜トリエンナーレ2005が引き寄せつつあるもろもろのパワー、情念、魑魅魍魎・・・のひとつなのだろう。本来横浜でやるべき企画を水戸に先を越されてしまった、というのが僕の感想。見せびらかしに来たんだろうと思った。桜木町のガード下はグラフィティ・アーティストにとって「聖地」だと、パネリストとして参加したKRESSさんから聞いた時僕はそう思った。「X-COLOR」に出品しているアーティストの多くが桜木町のガード下に「ボンビング(=爆弾を投げ付ける)」していたという。・・・>(全文はこちら。秀逸なコメントも)