そして、女たちのドキュメンタリーはつづく

dan01

杉本暁子監督

「海岸通団地物語~そして、女たちの人生はつづく~」を見た。CREAM(ヨコハマ国際映像祭2009)コンペティション国内長編作品に選ばれた(残念ながら入賞は逃したが・・)ヴィデオ映像、奇をてらわない素朴な表現が好感の持てるドキュメンタリーだ。

高層ビルが建ち並びきらびやかなみなとみらい地区に隣接して建つ古い団地、物語はその団地に住む女性画家の引越しの風景、彼女の語りから始まる。そして、監督の杉本曉子さんが何故この映画を撮ることになったか、最初は住民に警戒されながら次第にとけ込んでゆく様子が描かれる。

最初見ていて、もっとディテールが欲しいと思った。壁のシミとか、使い込んだ家具とか、そういうもの言わず静だが雄弁な「物たち」の質感が見たいと思った。そう思っていたら後半に、老婦人が料理する手元、大根の皮むきのクローズアップや半分しか映らないテレビ受像機とかたくさん登場してきた。

上映後のトークで彼女自身が明かしていたが、当初はどんな映画にしようかかなり迷っていたとのことだった。テーマが「団地」から「人」にシフトしていき、息づかいが聞こえてくる。自分自身の生き様と重なってきつつある「被写体」にカメラはためらいながらも執拗に疑問をぶつける。

トークで蔭山ヅルさんが巧みに杉本さんの胸の内を引き出す、さすがにうまい。本当は昔から映画を作りたかったのに、わざわざ遠回りしてやっとここにきたこと。そして、「映像の暴力」について監督に迫った。「団地マニア」と思われて警戒されながら通い続けて、プレゼントをもらうまでに受け入れられた彼女だが、最後の編集段階になって「ノー」を言われる、やはり立ち入られたくないところにまでカメラは入らざるを得ないのか。

杉本監督は明るく答える。「そういう時は説得します。」「撮られる側の立場もありますが、私の立場もあります。私はどうしても撮りたいのだから何時間かけても説得します。絶対いい作品になりますからって。」ストレートさはあらゆるモヤモヤを晴れさせる最大の力だろう。

映画に登場した画家の平山さんの作品が、不思議な縁でCREAMの会場(新港ピアのラボスペース)を飾っているらしい。蔭山さんのプロデュースだ。杉本さんがこれからも追い続けたいと考えている平山さんが、「創造都市」横浜でどこへ向かうのか僕も見てみたい。

(高橋 晃)

>作品詳細 https://takearteazy.wordpress.com/2009/10/31/danchimonogatari/

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そして、女たちのドキュメンタリーはつづく」への3件のフィードバック

  1. レビューをありがとうございます!
    「海岸通団地物語」監督の杉本です。
    作品内容についてだけではなく、
    トークショーで語った事柄(制作過程など)
    についても触れていただき、とても嬉しいです。
    一人でも多くの人に、私の「団地」への熱意が伝わり
    そしてまた作品に興味を持っていただければ……
    そんな風に思っております。

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