「ヨコハマトリエンナーレ2011」第3回記者会見[2] アーティスト魂かけて生み出される新たな視点

ヨコハマトリエンナーレ2011出品作家である、横尾忠則氏と岩崎貴宏氏が登壇者であった。横尾氏は、2次元の魔術師と異名をもつ日本を代表するグラフィックデザイナーであり、80年代以降は、画家としての活動を中心としている。これまでの実績が認められ、2011年春の受勲で旭日小綬章を受賞した。岩崎氏は、広島をベースに製作活動し、水に映った金閣寺を表現した《リフレクション・モデル》など凍結した時間を表現した作品やバスタオルの糸を引き出してテントを作った《アウト・オブ・ディスオーダー(コンプレックス)》など そこに存在する風景や日常のありふれたものを新たな視点から引き出したサプライズな作品を発表している。

 

【横尾 忠則氏 / YOKOO  Tadanori 1936年 兵庫県生まれ。東京在住。】

1月から製作し、現在11点目を製作中であるが開催ギリギリまで、作品を製作し展示したい。

今回の作品のテーマは、人間が生まれる寸前に あるいは生まれたか生まれていないかギリギリのところで、赤ん坊が見る最初の光景と人間が死ぬときに最後に見る光景を一つにすることである。我々は、普段見えないものを見えるように顕在化しているが、それに反した見えるものを見えなくさせての発想で描いている。アトリエ内や電気の下では全く見えなくなってしまって描けないので、まるでパフォーマンスであるかのように、アトリエの外にキャンパスを持ち出して、太陽の下で製作中だ。鑑賞者の日常や経験・記憶などを総動員して作品を感じてくれればいい。作品を鑑賞するにあたって、こういう風にみて欲しいとかは一切ない。                                                            

【岩崎 貴宏氏 / IWASAKI  Takahiro  1975年 広島県生まれ。同在住。】   

横浜美術館の特別な空間ならではの場を生かした作品を発表したい。現在作品については調整中である。詳細は記者会見のこの場では語らず、ヨコハマトリエンナーレで驚きを与えたい。

東日本大震災後、9日ぶりに救出された男の子が「将来の夢は芸術家になりたい。」と語っていたのが、とても嬉しかった。東日本大震災の影響が残るひどい状況の中でも、いろいろな人に驚き・夢・感動を与えられる作品を生み出していきたい、この時期に展覧会に参加することに対して、特別な思いを作品に込めたい。                                                  

         IWASAKI Takahiro《Out of Disorder (Complex) 》          2009 Courtesy of the artist and ARATANIURANO

                                      

 【質疑応答】                               

Q: 作家の構成バランスについて考えたことは?

A: 男女比のバランスの考慮や中近東・南米・アジア地域、若手作家の作品も採り入れたいと考えていたが、調査・準備等の時間がなかった。短い限られた時間で質の高い展覧会を開くために、最終的には、展覧会コンセプトに沿った作品内容で決める方向にした。国際展であるヨコハマトリエンナーレで日本人の作家の作品をきっちりと展示したい思いもあり、今回は日本人作家の数が多いかもしれない。                 

Q: 東日本大震災後の影響で予定の変更もしくは増えたことがあったら教えて下さい。

A: 当初予定作品を出品するのではなく、この状況に対してなにかをつくらなければ!新作製作の時間が厳しくても逃げずに新作を作りたいと、作品の変更があった。全体として、生と死に関する作品・鎮魂・祈りなどに関わる作品傾向がある。

 

【登壇者の会見から思うこと】

横尾氏の「開催ギリギリまで作品を製作し、1点でも多くの作品を展示したい!」 岩崎氏の「特別な思いを作品にこめ、観るものに驚き・夢・感動を与えたい!」 との言葉に、アーティスト魂を感じた。今回の東日本大震災の影響で展示作品を変更した作家達の心情も、きっと、両氏と同じ気持ちであろう。

 アーティスト魂を燃え上がらせて製作された作品に宿る、作家達の情熱・思い・メッセージは、人間文化の出発点とみることができ、それだけでも十分に<瞬間的絶対感を表した作品>として、価値を見いだすことができるのではないか? そして、このことは、本展覧会のより深い理解へと結びつくきっかけになると考える。

大いなる期待をこめて作家達にエールをおくるとともに、アーティスト魂かけて生み出される新たな視点を楽しみにしたい。

                                      

 レポート; チャーミー ( 梶原 千春 )  写真提供; 横浜トリエンナーレ組織委員会事務局

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 関連サイト・記事

「ヨコハマトリエンナーレ2011第3回記者会見資料」

http://yokohamatriennale.jp/pdf/200110526releaseW_ja.pdf

「ヨコハマトリエンナーレ2011」第3回記者会見[1] 

~~大きな愛を届けたい、アートの力を新たな希望の架け橋に~~

https://takearteazy.wordpress.com/2011/06/05/the-third-press-conference/

「ヨコハマトリエンナーレ公式サイト」

http://yokohamatriennale.jp/                                                                         

「ヨコハマトリエンナーレ2011」第3回記者会見[1] 大きな愛を届けたい、アートの力を新たな希望の架け橋に

「2011年5月26日(木曜日)「ヨコハマトリエンナーレ2011」第3回記者会見(開催概要・展覧会コンセプト・参加作家発表)が、スパイラルホール(東京都港区)にて、10:30〜12:00 で行われた。

2011年3月11日、午後3時から予定していた東京での第2回記者会見は、未曾有の東日本大震災により中止となったこともあり、今回の第3回の記者会見は、実質的に東京で行われる初めての会見でもあった。                    

前列:岩崎 貴宏,  横尾 忠則      後列:逢坂 恵理子,  林 文子,  三木 あき子(敬称略)
                                   
【横浜トリエンナーレ組織委員会会長 横浜市市長 林 文子氏】

過去のトリエンナーレの歴史を引き継ぎながら、文化庁の国際芸術フェスティバル支援事業のナショナルプロジェクトとして位置づけられた今回の展覧会をこれまで以上に磨きをかけて作りあげていきたい。
みる・つくる・学ぶということにバランスよく力をいれている、横浜を代表する拠点である横浜美術館に、トリエンナーレ作品を初めて展示できることや現代アートの拠点である日本郵船海岸通倉庫(BankArt Studio NYK) の倉庫空間を生かしダイナミックに作品を並べることに期待するとともに、創造界隈拠点等で開催されるアートプロジェクトと連携をとりながら、まちじゅうでアートイベントを開催し、「OPEN YOKOHAMA 2011」とともに、トリエンナーレに来場した方達に様々な横浜の楽しみ方を提案していきたい。


【総合ディレクター 横浜美術館館長 逢坂 恵理子氏】

今回、タイトル「OUR  MAGIC  HOUR −世界はどこまで知ることができるか?−」の通り、時間を超え時間をつなぐ展覧会であるとともに、現代アートだけでなく幅広い分野の作品を同時に展示するというめずらしい試みも三木氏と一緒に構築してきた。横浜美術館・日本郵船海岸通倉庫(BankART Studio NYK) と様々な拠点をつなぎ、横浜で活躍しているNPOの方々・大学・市民と恊働でネットワークをつくっていきたい。現代美術のもつ柔軟な視点や想像力から生まれる刺激といったものが、震災後の現在の状況を打開し、新たな一歩を踏み出す力になること、また、世界の多様性や人間の複雑さ、そして、素晴らしさを伝える非常に稀有な機会になることを願っている。


【アーティスティック・ディレクター 三木 あき子氏】

展覧会タイトル「OUR MAGIC HOUR −世界はどこまで知ることができるか?−」は、科学の進歩や理性で、果たして世界は知ることができるのであろうか? 科学や理性で解き明かせない世界や日常の不思議、魔法のような力、超自然現象や神話、伝説、アニミズム等に目を向け、さらなる可能性を求めて、謎や矛盾を柔軟にとらえようとする姿勢が必要なのではないか? 不安で先行きのみえない現代だからこそ、好奇心・柔軟性・想像力を働かせながら、視点を変えて、環境や時代・人間存在の深い部分を改めて模索していくことにつながっていく、そういったことが背景にある。
展覧会タイトルにもなったウーゴ・ロンディーノーネ(1963年、スイス生まれ)の《OUR MAGIC HOUR》は、<いつもはみえないものが、視点を変えれば、魔法のようにみえるかもしれない>といった虹のようなネオンサインの作品で、我々の誰の何の時間なのか? と問いかけながら、時空間を超えた鑑賞への旅へと誘いこむ、横浜美術館の屋上に設置される予定だ。


【質疑応答】

Q 従来、横浜トリエンナーレは市民恊働の形をとってきたが、今回そのことについて紹介がなかった。こうした事業について、どういう風にお考えなのかお聞かせ願いたい。

A 横浜トリエンナーレ学校やハシツバさんのプロジェクトなど、市民の方々に参加して頂く。さまざまな場面で市民が関われるように、市民との連携や市民恊働をすすめながら、オープンヨコハマや黄金町バザールなど都心部を中心としたイベント等で、まち全体を盛り上げていきたいと考えている。


Q 毎回課題となっているアーカイブであるが、今回どのようなアーカイブ対策を打ち出すのか?

A 横浜市中心となって事務局を運営し、アーカイブをしっかりやっていきたい。公立美術館である横浜美術館が主会場になることで、アーカイブ化についても一歩前進したと思っている。


Q 国際交流基金からの資料をいかしたアーカイブが行われているか、展覧会終了後、チェックすることを林市長はお約束できますか?

A しっかり受け止めたい。ちゃんとした組織体制をつくっていくことは、私達の目標でもある。横浜トリエンナーレのいろいろな課題をひとつひとつ固めていきたい。



* 参加作家・登壇者に関する記事、作品等に関する質疑応答は第3回記者会見[2]に、別途記載します。


<記者会見に参加して>

3.11の東日本大震災の発生以降、外国人の方が日本に来られない状況があり、国際展としての成立が危惧されていたが、国内外の出品作家から、「こういうときだからこそ! ぜひやりたい!」「横浜のため、日本のため、元気になるためにやろう!」「当初の出品予定作品を変更して、震災から受けるイメージをもとにした新たな作品づくりをしたい!」との声が次々と寄せられ、出展を決めた作家や作品制作に取り組んでいるというエピソードが披露された。政府予算の「元気な日本復活特別枠」にトリエンナーレが入ったこと、節電対策のため、会期期間中の休場日や時間変更など、震災の影響による数々の変更と出品作家の意欲的かつ情熱あふれるアーティスト魂を大いに関係者達が感じていることが伝わってきた。
多くの展覧会が延期・中止・縮小を余儀なくされている中、予定通り8月6日〜11月6日の期間開催や特別プログラム・各種イベントが実施されることは、主催はじめ関係者の並々ならぬ意気込みと尽力があったことを想像させ、感じさせる記者会見であった。

会見の中で、トリエンナーレならではの特徴でもある市民恊働・サポーター(5.26現在、登録者546名)との連携やトリエンナーレ学校の運営もすすめられているとのコメントがあった。
トリエンナーレの特徴は、市民恊働・サポーターや地域コミュニティが自主的に且つ時として意図的に、楽しみながら展覧会に関与することでもあると思う。
ぜひ、トリエンナーレの過去の蓄積をふまえ、主催者・関係者・NPO・市民団体・地域コミュニティ・市民・トリエンナーレを愛する全ての人達、みんなで相互に協力しあい、連携をとりながら、トリエンナーレを盛り上げていくこと、また、そのための仕組みづくりや多くの方が参加できる機会とコミュニケーションが図れる場を設けていくことが早急に必要なのではないかと考える。

待望されていた、横浜美術館の関与は、美術館主導の国際展覧会として新たな展開が期待されるとともに、これまでの課題でもあったアーカイブ問題の解消、国際交流基金から過去のトリエンナーレ関係資料の引き継ぎを意味し、リアルにひとつ前進できるのではないか?
美術館の存在意義、役割として、近年、地域文化の形成や地域の経済効果・まちづくり・市民の自己発見・自己実現のサポートになるような連携や活動が求められている。こういった側面からも、第4回にして初めて、横浜美術館館長である逢坂恵理子氏が総合ディレクターとして就任し、新会場に横浜美術館が加わったことの意義は、大変大きくその動向へは並々ならぬ注目と熱い視線が投げかけられていると思う。

現在、64組の作家、横浜美術館コレクションの7点、個人コレクションと多種多様な作品による、意外な遭遇と出会いの仕掛けにあふれた展示構成は、私達に思わぬ解釈を与え、自由な鑑賞を与えてくれるだろう。

98%の内容が固まりつつあるトリエンナーレ!! 開催まであと約2ヶ月、大いに期待したい!! 
 
 レポート:チャーミー(梶原 千春) 写真:はしもと のりこ
                                   
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【「ヨコハマトリエンナーレ2011」第3回記者会見】

2011年5月26日(木) 10:30~12:00

スパイラルホール3F (東京都港区青山5-6-23)

当日は、USTREAMによる生中継が行われた。
 
<ヨコハマトリエンナーレ2011第3回記者会見資料>


【「ヨコハマトリエンナーレ2011」概要】
                                                                                                                           タイトル:「ヨコハマトリエンナーレ2011
      OUR MAGIC HOUR -世界はどこまで知ることができるか?-」

総合ディレクター:横浜美術館館長 逢坂 恵理子
                                                                                                              
アーティスティック・ディレクター:三木 あき子

会期:2011年8月6日(土)~11月6日(日)
                                                                                                              
(休館日:8月、9月の毎週木曜日、10月13日(木)、10月27日(木))
                                                                                                                
会場:横浜美術館、日本郵船海岸通倉庫(BankART Studio NYK)、
    
   その他周辺地域
                                                                                                                
開館時間:11:00~18:00 (入場は17:30)
                                                                                                                
主催:横浜市・NHK・朝日新聞社・横浜トリエンナーレ組織委員会

特別連携プログラム:BankART LIFE Ⅲ(新港ピア)、
 
                                    
                              黄金町バザール2011(黄金町エリア)

前売券発売期間:2011年6月1日(水)~8月5日(金)
                        
                           全国のプレイガイド、コンビニエンスストアで発売中

入場料:
<お得なセット券>特別連携セット券
        
         ・前売券 一般 1,400円 大学・専門学校生 900円 高校生 400円
        
         ・当日券 一般 1,800円 大学・専門学校生 1,200円 高校生 700円
              
           <ヨコハマトリエンナーレ2011>
        
         ・前売券 一般 1,200円 大学・専門学校生 700円 高校生 300円
        
         ・当日券 一般 1,600円 大学・専門学校生 1,000円 高校生 600円
                                                                                                                      
<ヨコハマトリエンナーレ公式サイト>
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