怪しく華やぎ開幕した「わたし、ひとりになっても続けます」3/16まで

3月13日(土)、横浜トリエンナーレ市民アーカイブプロジェクト展示会「わたし、ひとりになっても続けます」の初日、パフォーマンスとシンポジウム「妄想カフェ・チェルシー横浜 俺たちはひとりじゃない」が行われた。

パフォーマンスは、成瀬信彦・猪鼻秀一・川端浩史3名の共演に始まり、次は相良ゆみ・万城目純・菅間圭子・森下泰輔の4名、最後は増山麗奈・黒田オサムと個性的な豪華メンバーの出演で会場は独特な熱気を帯び、怪しき美しさに華やいだ。アーティストshino.kもゲリラパフォーマンスとして場内の壁にTwitterでのつぶやきを映し続けた。

続いてのシンポジウムは、芸術家、研究者、市議会議員など多様な参加者で行われた。横浜トリエンナーレほか各地の芸術祭の組織や歴史、課題など話題も広がったが、それぞれ立場も違えば視点も異なる。けれどもZAIMという会場の空間の魅力や、市民自ら意志をもって動くプロジェクトに関しては好意的で、距離感の近い熱い議論となった。

途中退席した増山麗奈氏は、市民と行政の対話の重要性を強調し、他の参加者も頷いた。
アーカイブの意義、内容どちらにしても、未だ多くの賛同が得られているわけではないかもしれない。しかしながら、ZAIMでの展示を一度見ると、横浜トリエンナーレの歴史を大切に語り継いでいきたいというプロジェクトメンバーの意志を感じることができる。

その時代の「もの」を残し保管する重要性が共有されなくなれば、近い将来、博物館や資料館から化石や古道具が消え、歴史資料は写真や映像をデジタルデータだけ、そんなことになると味気ないなと冗談を言っていられるのは今のうちだけなのだろうか。

横浜トリエンナーレ市民アーカイブプロジェクト展示会「わたし、ひとりになっても続けます」は明日3月16日18時までZAIM中庭にて開催中。


主催の横浜トリエンナーレ市民アーカイブプロジェクトの皆さん。ホットワインやココア、持ち帰りもできる小さなアートもあります。カンパも歓迎。


ポスターやバナー、アーティストのサイン入り作品もずらり。横浜トリエンナーレ2011へのメッセージボードには「絶対行きます!」という書き込みも。


芸術家や美術関係者から寄贈された美術書「横濱書園」コーナーのソファは人気。装飾はアーティスト密照京華さんによる。

関連リンク

横浜トリエンナーレ・市民アーカイブ・プロジェクト

ライブ配信決定!「妄想カフェ・チェルシー横浜 ―俺たちはひとりじゃない―」3/13(土)13:00~18:00

はしご外された感否めないー横浜トリ市民アーカイブプロジェクト「わたし、ひとりになっても続けます」3/13~16

「わたし、ひとりになっても続けます」第2回横浜トリエンナーレ・市民アーカイブ・プロジェクト展示会/シンポジウム3/13-16

◆ライブ配信ログの公開について

横浜市場放送局とポートサイドステーションはこのイベントのライブ配信を行いました。

しかし会場のインターネット環境の不安定により、音声・映像ともに乱れ、見て頂いた皆さまに大変ご迷惑をおかけしました。お詫びいたします。

なお、録画記録を編集し、近日中に公開いたしますので、鮮明な映像はいましばらくお待ち下さい。

はしご外された感否めないー横浜トリ市民アーカイブプロジェクト「わたし、ひとりになっても続けます」3/13~16

横浜トリエンナーレ市民アーカイブプロジェクトは、これまでの横浜トリエンナーレとその関連市民活動がより充実し発展するために必要とされる知識を保管し、広く公開することを目的とするプロジェクトで、2008年の横浜トリエンナーレサポーターの中から生まれたものである。2005年のボランティアの活動拠点「トリエンナーレ・ステーション」として活用されたZAIMの地下には、会場模型やポスター、会期中の模様を録画したビデオテープ、ガイドブックや関連グッズのほか、数々の貴重な美術書が眠っていた。それを整理し、データベース化する活動が市民自らの発案により、2008年のトリエンナーレ終了後から始まった。当初、横浜トリエンナーレ組織委員会は、この活動に賛同し、ZAIM別館202号室を活動拠点として用意し、2009年7月から活動を行ってきた。

2009年9月には「開国博Y150」ベイサイド市民共催として、赤レンガ倉庫で第1回目の展示を行い、5日間で推計5500名の来場者を集め、運営ボランティアも合計21人が延べ80人日間稼動した。

今回第2回目の展示・シンポジウム「わたし、ひとりになっても続けます」は13日から17日まで、ZAIM中庭にて行われる。横浜トリエンナーレ2001、2005、2008の資料のほか、カフェスペースや貴重な美術書をゆったりと読めるスペースもあり、美術好き、横浜好きには注目される場となるだろう。13日には前衛的なアーティストによるパフォーマンスやシンポジウムも行われる。

さらに今回、もうひとつの注目すべき事象は、このプロジェクトの今後である。市民ボランティアにより整理され、データベース化が進んでいた、資料の数々は、3月末のZAIM閉館と同時に、再びZAIMの地下に戻される。そしてZAIM自体が施錠され、プロジェクトメンバーを含めた一般市民の立入が一切禁止となるという。しかも、横浜市からその連絡を正式に受けたのは3週間ほど前のことである。

「横浜トリエンナーレに関連する記録を可能な限り収集・保管し、参照可能なかたちで整理・分類していきます。そしてこのアーカイブをあらゆる人々へ広く公開します。」という横浜トリエンナーレ市民アーカイブプロジェクトの活動も、事実上ストップせざるを得ない状況だ。トリエンナーレに関する資料の所有権は横浜市にあるとはいえ、この状況は、市民自らがボランティアで行ってきた活動そのものを、市民から奪うことになるのではないだろうか。

横浜トリエンナーレ市民アーカイブプロジェクトの代表である山本亮さんは、「横浜トリエンナーレの記録を「もの」として残し、確実に次に関わる人につなぐことが使命と思い、手弁当でプロジェクトを進めてきました。私たちの継続的な活動の意義は、横浜市にも理解いただいていると思っていましたが、梯子をはずされた感は否めません」と語った。

横浜トリエンナーレ市民アーカイブプロジェクト自体は、7日に緊急会議を開き、これまでの作業は一旦3月で区切り、4月以降は2011年の横浜トリエンナーレに関するアーカイブ活動を行うことを決定した。

2011年の横浜トリエンナーレ・サポーター事務局長の天野太郎氏は、市民協働に広報活動を求めるとしながらも、過去の横浜トリエンナーレのアーカイブに関しては「過去の”資料”を見に来る人は限られていて、広報としての価値は低い。もっとWebを活用などして、例えばストリーミングで映像を流すなどを用いるほうがよい。2011のアーカイブを市民にお願いするとしたら、そのような方向を考える」という意見で、今回横浜トリエンナーレ市民アーカイブプロジェクトが開催する展示・シンポジウムイベントにも興味を示していないという。アーカイブの価値は共有できているが、「なにを」「どのように」アーカイブするのか、という点では相違が大きい。

過去の資料は、単純に保存するだけでは「古いもの」なのかもしれないが、整理し公開することで、人の記憶をよみがえらせたり、時代を越えて人と人をつなぐものになり得るのではないだろうか。

大切な「もの」として市民の手でアーカイブされた横浜トリエンナーレの記憶がZAIMの地下に再び眠ってしまう。

その前に、13日〜17日ZAIM中庭(旧ZAIMCAFE)で披露される現代アート、横浜の記録をぜひご覧頂きたい。

横浜トリエンナーレ市民アーカイブプロジェクト