6月26日(日)13:30~16:30
会場:横浜市民ギャラリーあざみ野 展示室1

「アートファーラムあざみ野」の入口(写真1)には、中学生から大人がワークショップで作った、水色、黄色、黄緑、ピンクのテープの枝が伸びている。中に入ると、足元に「現代アートを体験しよう」と大きな文字があり、中央からピンクの幹が伸びて会場へと誘っている(写真2)。

床や壁にもカラフルなテープで枝が描かれ葉や花が付き、鳥が飛び交っている(写真3)。この作品は6月23日、95人の小学生が淺井祐介氏のワークショップで作ったもの。ここに来ただけで楽しい気分になる。

今日のワークショップは、ヨコハマトリエンナーレ2011 連携プログラム「現代アートを体験しよう あざみ野 Workshop Week」のひとつで、中学生以上16人が集まった。
■オールドメディアを使うアーティスト
八木良太氏は、音、映像、時間、文字、記録に関心をもつアーティスト。プレーヤーにレコード盤をのせてろくろを回す作品、氷製のレコードを聴く作品などを紹介、レコード針に聴診器をつなげてスピーカー以外からも音をきくことができる可能性も示してくれた。
なげ、最後は全員でひとつの輪にすると、くねくねした黒いレールが出来上がる。最後の1枚が思うようにつながらない。こっちをひっぱると、あっちが切れる、「まあ、子育てみたいね」と年配の女性がつい一言。

八木氏は「思っていた以上の出来」と満足だった。完成したレールの上に、八木氏が小さな車を乗せると、キューキュー言いながら走り出し、驚きと歓声が上がった。レコードは割れても音を忘れていなかった。
今度は個人のワークショップ。レコード、カセット、ビデオ、レコードジャケットなどで作品を作る。
カセットテープを裏返して逆回しを試みる人、割ったレコードを合わせて新盤を作る人、音に関係のないオブジェを作る人、壁にテープやレコードを貼る大作に仕上げる人、予定時間をかなりオーバーしてそれぞれ集中していた。

動画の記録も実物と同様で、作品を違った表現で見せる方法という八木氏は、ヨコハマトリエンナーレ2011では横浜美術館で展示をする。レコードを使う作品の実物と動画の他、現在制作中の新作を予定している。現象の不思議さをじっくり見て観察してほしいと言う。10月には東京の「無人島プロダクション」でも発表の予定で、併せて見て作品のつながりを考えるのもお勧めだ。
■失敗するたびに発見がある
八木氏は自作についてこう語った。
「手さぐりで作品を作り、気付いたらできていたように感じる。こうしたいという理想はあるが、そのとおりにならないことも多く、失敗するたびに発見がある、思いや形が幸せに噛み合ったときに作品になっている。そのときどきにおもしろいと思うものがあるが、いまはカセットテープを素材として使うことに可能性を感じている。2010年この会場で開いた展覧会*で、過去5年間の作品をまとめて展示したら、点々と作っていた作品がつながっていたのは意外で発見だった」
※「音が描く風景/風景が描く音 鈴木昭男・八木良太展」
http://artazamino.jp/events-archives/past-exhibitions/otogaegaku/(リンク)
◎八木良太(やぎ・りょうた)
1980年愛媛県生まれ。2003年京都造形芸術大学空間演出デザイン学科卒業。2010年にAsian Cultural Councilの助成によりニューヨーク滞在。主な展覧会に2008年「エマージェンシーズ8『回転』」(NTT ICC)、2009年「サイレント」(広島市現代美術館)、2010年「音が描く風景/風景が描く音 鈴木昭男・八木良太展」(横浜市民ギャラリーあざみ野)、2011年「MOT アニュアル 2011 ―世界の深さのはかり方」(東京都現代美術館)、ヨコハマトリエンナーレ2011。http://www.lyt.jp/
◎無人島プロダクション 2011年10月予定
http://www.mujin-to.com/index_j.htm
東京都江東区三好2-12-6-1F tel. 03-6458-8225 / fax. 03-6458-8226
◎「現代アートを体験しよう あざみ野 Workshop Week」http://artazamino.jp/organized-events/special-exhibitions/hakkutu2011/
「横浜市民ギャラリーあざみ野」は「男女共同参画センター横浜北」との複合施設で、全体は「アートフォーラムあざみ野」。
「横浜市民ギャラリーあざみ野」はジャンルを超えた「創造性溢れる表現活動」を幅広く育み、市民と創造活動の出会いの場をつくることを目的に自主企画展、講座などを企画実施している。
レポート・写真 はしもと のりこ