ヨコハマトリエンナーレ トリエンナーレ学校 第11回 「ヨコトリ2011見どころ講座 アーティスト編③」

6月8日(水)19:00~20:30
会場:ヨコハマ創造都市センター(YCC)3階スペース

主催:横浜トリエンナーレ組織委員会

講師:島袋道浩(ヨコハマトリエンナーレ2011参加作家)
   天野太郎 (ヨコハマトリエンナーレ2011キュレトリアル・チーム・ヘッド/横浜美術館主席学芸員)

トリエンナーレでは、新幹線から見えるところに看板を作りたいと述べる島袋氏

島袋氏はベルリン在住、3日前に来日し、あすベルリンに帰国するという。横浜に2年間住んでいたこともあり、横浜トリエンナーレ2001にも参加した、横浜にゆかりのある作家のひとり。島袋氏は、招待された土地で何を作るか探ることから作品づくりを始める。

島袋氏のトークではとりとめなく、次から次へと作品を紹介した。聞いていると納得できるものの、振り返ってみると自分のメモの意味が薄れていく感じがする。哲学のように模索しながら話す言葉の端に真実が潜んでいる気がする。

島袋氏はパソコンを自ら操作し、画像で12点の作品を紹介した。ここではその半数を掲載する。

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《あたまにものをのせるのはかっこわるいことか?》

「沖縄文化の軌跡1872-2007」沖縄県立博物館・美術館 2007年

女が頭にものを乗せて運ぶ習慣は、韓国、ベトナム、タイ、アフリカ、南米にあるが、日本本土、中国にはない。その習慣がどんどんなくなっている。父親が沖縄出身なので、子どもの頃から「頭にものをのせるのはかっこいい」と思っているのを、「恥ずかしいから」やめたという人がいる。頭にものをのせるのはかっこ悪いことなのか。もう一度を考えようと、体験型の展示を行った。入館者はタライや籠を頭に乗せ、鏡に映して姿を見る。名人のおばちゃんは一升瓶を頭に乗せ、アドバイスをしてくれる。

《浮くもの/沈むもの》

「愛についての100の物語」金沢21世紀美術館 2009年

アトリエはなく、台所で考えものをする。あるとき、トマトには水に浮くものと沈むものがあることに気づき、なぞをなぞのまま、水槽にトマトを入れて展示。美術館の人がトマトを買いに八百屋に週2回でかけると、八百屋でトマトを水に浮かべてと、浮くものと沈むものを確認して売ってくれる。作品を通して生まれた人間関係が面白い。

うまい、えらいとできることを見せびらかす場が、長いこと美術だった。しかし、わけのわからないものをどうやって引き受けるか、わからないものを共有することこそが美術だったりする。謎をなぞのまま保管したり、科学者と競争で新しい謎を作ったりする役割がアーティストにはあるのではないか。

《やるつもりのなかったことをやってみる》

「島袋道浩展 美術の星の人へ」ワタリウム美術館 2008年

美術館にゴルフのレッスンプロを招いてゴルフのワークショップを行った。プロが同じポーズを説明するのに「ラーメン屋で並んでぼっといるときの形」、別のプロは「信号待ちをしているときの形」という。体で行うことをどう言葉にするかも面白い、ワークショプを通して、いままで話ができなかった人と話せるようになった、友人が増えた、人生が広がったなど、意外に面白かった。プロから「ゴルフを習いに来る人より、才能を持った人がいた」と聞き、やったことがないことに天才の可能性があるかもしれない。美術館でその機会をつくれたらいい、これからもこのタイトルの作品をつくっていくだろうなと思う。

《日本の船旅》

横浜トリエンナーレ2001

横浜に2年住んでいた頃で、海に関したことを外で行いたいと思っていた。ゆっくり行くほうが楽しいし、ゆっくりでないと行けないところがあり、また、船で行くのと飛行機で行くのと全然違うという経験を伝えたいと、船で行く情報、値段やタイムテーブルを示した究極の体験型アート作品になった。船で行くことができる外国、韓国、中国、台湾、ロシアに行き、写真1点を撮影して展示した。時間が取れなくて、写真を撮るだけの日帰りでその土地に慣れる時間もなく帰国したが、旅の方法としておすすめだ。臨海パークには、写真の水平線と実際の水平線をそろえて展示した。

《カメ先生》  

「風穴 もうひとつのコンセプチュアリズム、アジアから」国立国際美術館 2011年

陸ガメを囲いに入れて、美術館で展示。「そんなに急がなくてもいいじゃないか」と、東日本大震災が起こる前から思っていた。日本は戦後復興のなかで新しいことをどんどんやってきた、もう止まることを消極的ではなく、ポジティブに考えてもいいんじゃないか。勇気をもって引き返せばいい、それについて作品を作ろうと思っていた。

水族館でカメに会ったらマイペースで自信をもって遅いことが、先生みたいだと思った。その体験をして知ってほしくて、美術館で生きたカメを展示した。イベントでは、カメの囲いに一人ずつ長靴を履いて入ってもらった。監視の人にカメを先生と呼んでもらい、その人たちが自宅に帰って「職場にカメ来てんねん」と話して広がっていくのが面白い。新しいことがどんどん出てきて、止まることはネガティブだといわれて、新しいものを次々に生み出す、しかし「ポジティブに止まる」を考えていいのでは、勇気をもって引き返せばいい。

《人間性回復のチャンス》

神戸、須磨 1995年

1995年1月17日 阪神淡路大震災の日、神戸に住んでいたが、当日は広島にいた。多くの建物が壊れ、多くの人がなくなったが、知らない人同士が声を掛け合い自然と助け合う、美しい光景があった。しかし、1か月経つと、そんな光景はだんだん少なくなって悲しかった。神戸の西、須磨が被害の境めで、須磨以西は被害がなかった。須磨に住んでいる友人の家も崩れ、ふすまに文字を書いた「人間回復のチャンス」という看板を掲げ、屋根に乗せて、電車で行き交う人から見えるようにした。

大阪で発表し、水戸芸術館で初めて写真として展示した。撮影した日は1995年3月11日と偶然、3月の震災と同じ日だった。

ヨコハマトリエンナーレ2011

作品として、新幹線で横浜に向かう途中、車窓から見える4×12mくらいの大きな看板を考えている。展覧会はオープニングで終わるのではなく、最後までよくするための努力をすればいい、スポーツでもメンバーチェンジがある、展覧会でちょっと違うなと思ったら変えればいい。僕にとってのメディアは展覧会で、わざわざ来てくれる人にメッセージを送りたいと思う。

東日本大震災が起こった3月11日は打合せで横浜から帰る新幹線のなかだった。震災については、関東と関西の温度差を感じていて、新幹線から見えるところに看板を出したいと思っている。ヨコハマトリエンナーレ2011のテーマは「世界はどこまで知ることができるか」だが、展覧会に来ても見られない作品があってもいい。新幹線から写真をとってリサーチし、看板屋さんに問い合わせをしているところ。会場のなかに、平塚や静岡県磐田の看板屋さん、看板が立っている土地の地権者の方がいませんか。

横浜でもなにかやりたいと思っている。神戸は自分が住んでいた町だったので看板作品ができたところがあったが、福島に看板を作るのはどうだろうかと考えている。また、デモが夏祭りのようになっていて、日本人はデモのやり方を忘れたのかと思い、デモのワークショップはどうか、現状に対するリアクションに名前をつけてワークショップをするのはどうかなどと考えている。「原発やめろ」ではなく、「原発やめる」と宣告する、「やめる」「る」「る」の看板もいいかなと思っている。

島袋道弘氏

島袋道浩 しまぶく みちひろ(美術家)
1969年、神戸市生まれ。ベルリン在住。
1990年代初頭より世界中の多くの場所を旅しながら、人間の生き方や新しいコミュニケーションのあり方に関するパフォーマンスやインスタレーション作品などを制作している。パリのポンピドー・センター、ロンドンのヘイワード・ギャラリーなどでのグループ展や03年ヴェニス・ビエンナーレ、2006年サンパウロ・ビエンナーレ、10 年あいちトリエンナーレなどの国際展に多数参加。

http://www.shimabuku.net/index.html

作家のHP

 人間性回復のチャンス http://www.shimabuku.net/work3.html

レポート・写真 / はしもと のりこ

 

八木良太ワークショップ「音楽の漬け物」

 

6月26日(日)13:30~16:30
会場:横浜市民ギャラリーあざみ野 展示室1 

1 「アートフォーラムあざみ野」入口

 「アートファーラムあざみ野」の入口(写真1)には、中学生から大人がワークショップで作った、水色、黄色、黄緑、ピンクのテープの枝が伸びている。中に入ると、足元に「現代アートを体験しよう」と大きな文字があり、中央からピンクの幹が伸びて会場へと誘っている(写真2)。

2 ワークショップルームに誘う文字と枝

床や壁にもカラフルなテープで枝が描かれ葉や花が付き、鳥が飛び交っている(写真3)。この作品は6月23日、95人の小学生が淺井祐介氏のワークショップで作ったもの。ここに来ただけで楽しい気分になる。

3 思わず足を止める、ワークショップルームの壁

 

 

今日のワークショップは、ヨコハマトリエンナーレ2011 連携プログラム「現代アートを体験しよう あざみ野 Workshop Week」のひとつで、中学生以上16人が集まった。

 

   ■オールドメディアを使うアーティスト

 八木良太氏は、音、映像、時間、文字、記録に関心をもつアーティスト。プレーヤーにレコード盤をのせてろくろを回す作品、氷製のレコードを聴く作品などを紹介、レコード針に聴診器をつなげてスピーカー以外からも音をきくことができる可能性も示してくれた。 

4 説明をする八木良太氏
1980年生まれの八木氏はレコードを初めて手にしたとき、プレーヤーにレコードを置いたものの、どこに針を落としたらよいかわからなかったそうだ。「メディア」は情報伝達の媒介となるもので、ラジオ、テレビ、新聞、雑誌などを指すことが多いが、八木氏はレコード、カセットテープなど一般的に「オールドメディア」と呼ばれるものを素材に作品を制作している(写真4)。
5 最後の一枚がつながらない
 
 
■みんなでレコード盤をつなげる(写真5,6)
 
まずレコードを割ることに専念。不要になったレコードにカッターでていねいに折り目をつけて半分、四分の一に割る。次に、割ったレコードを床に並べてつなげていく。一人分がまとまったら、隣の人とつ

なげ、最後は全員でひとつの輪にすると、くねくねした黒いレールが出来上がる。最後の1枚が思うようにつながらない。こっちをひっぱると、あっちが切れる、「まあ、子育てみたいね」と年配の女性がつい一言。

6 レコードの上を車が走る

八木氏は「思っていた以上の出来」と満足だった。完成したレールの上に、八木氏が小さな車を乗せると、キューキュー言いながら走り出し、驚きと歓声が上がった。レコードは割れても音を忘れていなかった。 

7 レコード、テープで壁を飾る大作
 
 
 
 
■ひとりずつオールドメディアで作品を作る(写真7、8)
 

今度は個人のワークショップ。レコード、カセット、ビデオ、レコードジャケットなどで作品を作る。

カセットテープを裏返して逆回しを試みる人、割ったレコードを合わせて新盤を作る人、音に関係のないオブジェを作る人、壁にテープやレコードを貼る大作に仕上げる人、予定時間をかなりオーバーしてそれぞれ集中していた。

8 カセットのテープを逆に巻く人
 
■ヨコハマトリエンナーレ2011では新作が楽しみ

動画の記録も実物と同様で、作品を違った表現で見せる方法という八木氏は、ヨコハマトリエンナーレ2011では横浜美術館で展示をする。レコードを使う作品の実物と動画の他、現在制作中の新作を予定している。現象の不思議さをじっくり見て観察してほしいと言う。10月には東京の「無人島プロダクション」でも発表の予定で、併せて見て作品のつながりを考えるのもお勧めだ。

 ■失敗するたびに発見がある

八木氏は自作についてこう語った。

「手さぐりで作品を作り、気付いたらできていたように感じる。こうしたいという理想はあるが、そのとおりにならないことも多く、失敗するたびに発見がある、思いや形が幸せに噛み合ったときに作品になっている。そのときどきにおもしろいと思うものがあるが、いまはカセットテープを素材として使うことに可能性を感じている。2010年この会場で開いた展覧会*で、過去5年間の作品をまとめて展示したら、点々と作っていた作品がつながっていたのは意外で発見だった」

※「音が描く風景/風景が描く音 鈴木昭男・八木良太展」
  http://artazamino.jp/events-archives/past-exhibitions/otogaegaku/(リンク)

◎八木良太(やぎ・りょうた)
1980年愛媛県生まれ。2003年京都造形芸術大学空間演出デザイン学科卒業。2010年にAsian Cultural Councilの助成によりニューヨーク滞在。主な展覧会に2008年「エマージェンシーズ8『回転』」(NTT ICC)、2009年「サイレント」(広島市現代美術館)、2010年「音が描く風景/風景が描く音 鈴木昭男・八木良太展」(横浜市民ギャラリーあざみ野)、2011年「MOT アニュアル 2011 ―世界の深さのはかり方」(東京都現代美術館)、ヨコハマトリエンナーレ2011。http://www.lyt.jp/

 ◎無人島プロダクション 2011年10月予定 

http://www.mujin-to.com/index_j.htm 

東京都江東区三好2-12-6-1F tel. 03-6458-8225 / fax. 03-6458-8226

 ◎「現代アートを体験しよう あざみ野 Workshop Week」http://artazamino.jp/organized-events/special-exhibitions/hakkutu2011/

「横浜市民ギャラリーあざみ野」は「男女共同参画センター横浜北」との複合施設で、全体は「アートフォーラムあざみ野」。

「横浜市民ギャラリーあざみ野」はジャンルを超えた「創造性溢れる表現活動」を幅広く育み、市民と創造活動の出会いの場をつくることを目的に自主企画展、講座などを企画実施している。

レポート・写真 はしもと のりこ

「ヨコハマトリエンナーレ2011」第3回記者会見[3] 多種多様な作品が創りだす、意外な「遭遇・出会い」

「ヨコハマトリエンナーレ2011」アーティステック・ディレクターの三木あき子氏より、展覧会の特徴ポイントと一部の参加作家とその作品についての紹介があった。

【展覧会について】

展覧会には、円・サイクル・見えるもの・見えないもの・儀式・錬金術・奇妙な風景、といろいろなキーワードが見受けられる。震災後は、生と死・鎮魂・祈りへの関わりが深まった作品が出展される傾向となった。  

【参加作家】

ウーゴ・ロンディノーネ /Ugo RONDINONE 1964年 ブルンネン(スイス)生まれ。ニューヨーク在住。

幻想的且つムーディな風景を作り出す手法で知られる作家である。1月・2月と月を表したアニミズム的・シンボロイズムな巨大なマスクのような彫刻郡12体12ヶ月で構成された作品《moonrise.east.》を横浜美術館の屋外の現実的空間から横浜美術館に向かう形で展示する。

ヨコハマトリエンナーレ2011の初回チラシに掲載の作品《moonrise.east.marchi》は3月をイメージした作品である。展覧会タイトル作品《Our Magic Hour》は、横浜美術館の屋上に設置予定である。

シガリット・ランダウ/Sigalit LANDAU 1969年 エルサレム(イスラエル)生まれ。テルアビブ在住。 

今年の第54回ヴェネツィア ビエンナーレ イスラエル館代表である。しばしば自分の身体を用いて痛みを伴う歴史・記憶に言及しつつ人間の存在を問うような作品を発表している。塩分の多い死海で行ったパフォーマンス映像と彫刻のインスタレーションを展示する。

マッシモ・バルトリーニ/Massimo BARTOLINI 1962年 チェーチナ(イタリア)生まれ。同在住。

特定の環境をつくり出す作品をつくる作家。工事現場の足場で組まれるパイプを用い、近づくと、パイプオルガンのような音が聴こえてくるような作品。工場現場と教会と美術館がミックスされたような不思議な空間をかもしだす。

クリスチャン・マークレー/Christian MARCLAY 1955年 カリフォルニア州サンラファエル(アメリカ)生まれ。 ロンドン、ニューヨーク在住。

CDを床にひきつめたりと音楽関連の作品で有名な作家。今回出展される大作《The Clock》は第54回ヴェネツィアビエンナーレで「金獅子賞 最高優秀作家賞」を受賞。莫大な数の古今東西の映画から時間を示すシーンを集めてそれをつなぎあわせた24時間の作品である。展覧会期間中、横浜の時間に合わせた上映で時計としても機能する。記者会見では、本人からのビデオメッセージが公開された。

ジュン・グエン=ハツシバ/   Jun NGUYEN-HATSUSHIBA 1968年 東京都生まれ。ホーチミン(ベトナム)在住。

Jun NGUYEN-HATSUSHIBA 《Breathing is Free: JAPAN, Hopes & Recovery 2011   Photo:NguyenTuan Dat / Nguyen Ton Hung Truong Courtesy the artist and Mizuma Art Gallery                            

街を走りながら、地球のドローイングを描くプロジェクトを展開している。これは、移動をしいられる難民の人々の痛みを身体で図ろうとするコンセプトから生まれ、走る道筋で絵を描き、街の異なる見え方も提示した作品である。当初、8月6日からヨコハマトリエンナーレがスタートすることをふまえて、菊の花の形を描き広島へのメモリアルにしたいとしていた。東日本大震災後、いてもたってもいられなくなり、ホーチミンを走りはじめるとともに、ホーチミンで走って描いた桜の形と横浜のサポーター達が走って描いた桜の姿を合体する形に作品《Breathing is free》の内容を変更した。震災で被災した人々が、日本のみんなが元気をとりもどせるようにヨコハマトリエンナーレで花を咲かせる。

製作過程はFacebookでチェックできる。記者会見では、本人からのビデオメッセージが公開された。

田中 功起/TANAKA Koki 1975年 栃木県生まれ。ロサンゼルス在住。

日常の素材を用いて世界の構造・多様を独自の視点で探ろうとするプロジェクト、インスタレーションで知られる作家。今回、美術館内の展示台・いす・机などを使いそれらをどのように組み合わせて展示するのか、美術館に異なる視点を提示するスタンスも面白い。

ジェイムス・リー・バイヤース/James Lee BYARS 1932-1997年 ミシガン州デトロイト(アメリカ)生まれ。カイロにて没。

97年に亡くなった作家。作品の中に一瞬で消えてしまうような「はかなげな機能」をもち、近年再評価がすすむ。今回、《Five Points Make a Man》5つの点が人間をつくるというタイトルに基づいたパフォーマンス・インスタレーションを展示。このパフォーマンスは全てどのようにやるか決められていたが、作家は実際のパフォーマンスを見ることなく亡くなった。

N.S.ハルシャ/N.S.Harsha 1969年 マイソール(インド)生まれ。同在住。

2008年第3回アルテス・ムンディ大賞を受賞。グローバル化に伴う社会・政治的課題・環境問題などの現代テーマを色彩豊かで繊細なイメージの中で扱う。今回、横浜美術館館内のカフェ内に食べること、食に関連する作品を発表。食を分け合う・与えあう・一緒に食べる、そういったものに関係する何かマジカルな瞬間を提示していく。

ヘンリック・ホーカンソン/Henrik HÅKANSSON 1968年 ヘルシンボリ(スウェーデン)生まれ。 フォルケンベルグ、ベルリン在住。

カエルや鳥などの生態を記録したり、植物などの自然を展示空間に持ち込む作家で知られる。世界は人間の視点から理解するのが大事なのではなく、他の植物や静物から見る視点を捉える試みで知られる。樹木・植物の生命力に注目した木を使ったインスタレーション作品を展示予定。

孫遜(スン・シュン)/SUN Xun 1980年 遼寧省阜新(中国)生まれ。北京在住。

横浜で滞在制作もしたことのある中国を代表する若手作家。常に社会の変化を問い続けるような作品で知られる。ヴェツィア ビエンナーレにも出展された大作《21G》を出展。5年の歳月をかけて、1万点以上のハンドローイングをつなぎあわせたインスタレーションで横浜美術館のコレクションと組み合わせた形で展示される。《21G》は、人間が死んだとき魂の重さ21gだけ体重が軽くなることをあらわす。

リヴァーネ・ノイエンシュワンダー/   Rivane NEUENSCHWANDER 1967年 ベロ・オリゾンテ(ブラジル)生まれ。同在住。

普段、我々が見逃しているもの、言葉にならないコミュニケーション・物事の余韻を視覚化したり音にしたりする作品で知られている。黒いタイルの上にベビーパウダーを撒いて掃くことにより虹模様を描いたり、虹の凸凹を浮き彫りにし、視点を変えれば世界は違って見える、変わって見えることを示す。

今回は新作と《O inquilino/The Tenant》の映像作品を展示予定。

カールステン・ニコライ/Carsten NICOLAI 1965年 カール・マルクス・シュタット(ドイツ)生まれ。 ベルリン、ケムニッツ在住。

Carsten NICOLAI 《autoR》 2010 ! Photo: René Zieger ! Courtesy Galerie EIGEN + ART, Leipzig/Berlin and The Pace Gallery

マルチメディア作品で知られる作家。横浜美術館前の建設中の施設の工事の囲い壁に鑑賞者が幾何学模様のパーツを自由に組み合わせ、作家のコントロールを超えて増殖していくイメージ・混沌とした表裏一体化の表現を狙う。屋外と日本郵船海岸通倉庫(Bank  ART  Studio NYK) の中に作品展示予定。

杉本 博司/SUGIMOTO Hiroshi 1948年 東京都生まれ。ニューヨーク在住。

日本を代表とする写真作家。仏像・化石・造形物・劇場など悠久的時間の中で作り上げた造形美術を集めて独自の視点と美意識で再構築した作品を発表し、国際展出展作家として評価が高い。今回、本人の写真と他を建築的に組み合わせた構成で、鑑賞者に新たな視点を提案している。

デワール & ジッケル/DEWAR & GICQUEL ダニエル・デワール:1976年 フォレスト・ディーン(イギリス)生まれ。パリ在住。 グレゴリー・ジッケル:1975年 サン=ブリユー(フランス)生まれ。パリ在住。

Dewar & Gicquel《Otter and Trout》 Private collection, Paris, France View of the exhibition Dewar &Gicquel, FRAC Basse Normandie, Caen, 2007 Photo Marc Domage COURTESY GALERIE LOEVENBRUCK, PARIS

古代から現代に至る様々な神話・ポピュラーなイメージを異種混同させて、動物彫刻的な作品を製作する作家。人間が本来持つ原始的なエネルギーを作品で表現したい、と現地フランスでインスタレーションを制作中。横浜美術館と日本郵船海岸通倉庫(Bank ART Studio NYK)に展示予定。

イェッペ・ハイン/Jeppe HEIN 1974年 コペンハーゲン(デンマーク)生まれ。 コペンハーゲン、ベルリン在住。

Jeppe HEIN《Smoking Bench》 2002 Installation view at ARoS, Denmark, 2009 Photo by Ole Hein Pedersen Courtesy: Johann König, Berlin, 303 Gallery, New York and SCAI THE BATHHOUSE, Tokyo

観客との関係を生み出すユーモアあふれる作品で知られる。金沢21世紀美術館で個展を開催中。会場で鑑賞者に体験してもらう参加体験型作品を展示予定。「震災後のこの大変な時期に、一瞬でも苦しいことを忘れてくれたり楽しんでもらったり、ちがうことを考えてくれたら嬉しい。」と作品に思いを込める。

前田 征紀/MAEDA Yukinori 1971年 日本生まれ。日本在住。

光・空間・宇宙などをテーマに取り扱いしている作家。今回は新作を発表する。

ミルチャ・カントル/Mircea CANTOR 1977年 ルーマニア生まれ。地球在住。

物理的・心理的動揺を引き起こすような作品で知られる作家。女性が延々と床を掃き続けるハピネスな《Tracking Happiness》はじめ、いくつかの作品を展示。作品を通じて、コンピューター社会における情報・そうした状況を身体的に理解しようと試みる。

野口 里佳/NOGUCHI Rika 1971年 埼玉県生まれ。ベルリン在住。

独特の距離感・空気感が漂よう数多くの写真を撮影している。今回は新作を発表する。

アピチャッポン・ウィーラセタクン/   Apichatpong WEERASETHAKUL 1970年 バンコク(タイ)生まれ。チェンマイ、バンコク在住。

『ブンミおじさんの森』でカンヌ映画祭パルムドール受賞。《PRIMITIVE》プロジェクトの中からインスタレーションを出品。

荒木 経惟/ARAKI Nobuyoshi 1940年 東京都生まれ。同在住。

都市風景・花の描写・エロスを浮き彫りにする作品で知られる。「死と生」「円転界」「Magic Hour」「花を捧げる」といった幾つかのキーワードを柱に展示。

トビアス・レーベルガー/Tobias REHBERGER 1966年 エスリンゲン(ドイツ)生まれ。フランクフルト在住。

ポップでカラフルなインテリアデザイン的作品・映画や光に言及した多様な作品で知られる。ランプの光が遠隔地の知らない場所で人の動きで点灯し、誰もがもつある種の無意識を視覚化するような作品を展示する。

蔡佳葳 (ツァイ・チャウエイ)/TSAI Charwei 1980年 台湾生まれ。パリ、ニューヨーク、台北在住。

豆腐・タコ・きのこなどにお経を書き続けるパフォーマンス映像で知られる。文明と自然の関係から、環境と歴史のはかなさを問いかけるとともに、そこに在るマジカルな瞬間を浮き彫りにする。

今村 遼佑/IMAMURA Ryosuke 1982年 京都府生まれ。同在住。

一見何もないギャラリー空間が作品である。そこで行われた様々のイベントの中でおきたささやかな出来事やそこにあった空間を「記憶」として思い出させ、空間と人間の五感の関係から生まれつむぎだすものを感じさせる。

マイク・ケリー/Mike KELLEY 1954年 デトロイト(アメリカ)生まれ。ロサンゼルス在住。

オカルトなどで知られる著名なアメリカの作家。スーパーマンなどにでてくる架空都市をはじめとした誰もが知っているストーリーの舞台でありながら、多様性を極める町中を立体的に再現する《Kandor City》を展示する。

ダミアン・ハースト/Damien HIRST 1965年 ブリストル(イギリス)生まれ。デヴォン在住。

アート界にセンセーションを巻き起こす作家。作品には科学と宗教のアイデオロギーがしばしば用いられる。今回は、バタフライペインティングと呼ばれる何千もの教会のステンドグラスを模した蝶の羽が曼荼羅のようなパターンを描いた作品を数点展示する。

薄久保 香/USUKUBO Kaoru 1981年 栃木県生まれ。東京都在住。

一見リアルだが、どこか夢のような幻影の作品を発表している。虚構と現実空間の曖昧さに着目し、現代のリアリティの問題を共有している作品である。

ONO Yoko Courtesy of Yoko Ono

                                                    

オノ・ヨーコ/ONO Yoko 1933年 東京都生まれ。ニューヨーク在住。

今年、第8回ヒロシマ賞受賞。当初、広島に関するシンボリズムな作品を展示予定であったが、「こういうときだからこそ、できるかぎりのことをやりたい。」と東日本大震災後のシンボリズムを表現するような新しいインスタレーション作品を出展することとなった。                                                                             

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                

ライアン・ガンダー/Ryan GANDER 1976年 チェスター(イギリス)生まれ。ロンドン在住。

非常に幅広い作品をつくるイギリスの作家。球に関連した2つの異なる作品を展示予定。

湯本豪一コレクション/   YUMOTO Goichi Collection

日本最大といえる妖怪コレクター。今回は歴史的絵巻から現代のパチンコ台までの一部を紹介する。時代を超えて人々を魅了し続け、現代に脈々と引き継がれきた妖怪文化の謎とその不思議な存在にせまる。

ピーター・コフィン/Peter COFFIN 1972年 カリフォルニア州バークレー(アメリカ)生まれ。 ニューヨーク在住。

公的には認められていない世界中にあるミクロネーションを紹介するようなプロジェクトを展開したり、UFOまがいの物体を飛ばすことでUFOそのものを社会的見地から分析することで知られる。植物の育成には音楽を聴かせることが有効であるのかを試す作品《Unititled (Greenhouse) 》を横浜創造都市センター(YCC)に展示する。これは、ミュージシャンが実際にライブ形式で音楽を聴かせるが、あくまでも、人に聴いてもらうのではなく植物に聴いてもらうためのコンサートである。                                                                                            

【作家発表!「ヨコハマトリエンナーレ2011」開催について思うこと】

東日本大震災で多くの命・建造物・文化・自然が失われた。経済・社会・生活への影響も色濃くなお残る。このような状況下で、私達は必然と人と自然の関係性や生き方・価値観・科学技術の発展の恩恵とそれに反した危険性について、あらためて考えさせられた。この経験は、全人間的ヴィジョンをもちながら本展の作品をより深く「視る」ことにつながるとともに、本当の世界観や人間文化の根源にあるアニミズムの心性への理解となるのではないか?

そういった意味からも、「ヨコハマトリエンナーレ2011」は、今の私達に必要なことが詰まった、まさに、タイムリーな展覧会であると言えるだろう。

「OUR MAGIC HOUR-世界はどこまで知ることができるか?-」

私達は、何を感じ、知るのであろうか? 期待に胸を膨らませ、ワクワクしている。                       

レポート; チャーミー (梶原 千春) 写真提供; 横浜トリエンナーレ組織委員会事務局

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【関連サイト・記事】

<ヨコハマトリエンナーレ2011 第3回記者会見資料>

http://yokohamatriennale.jp/pdf/200110526releaseW_ja.pdf               

「ヨコハマトリエンナーレ2011」第3回記者会見[1]    大きな愛を届けたい、アートの力を新たな希望の架け橋に

https://takearteazy.wordpress.com/2011/06/05/the-third-press-conference/

 

「ヨコハマトリエンナーレ2011」第3回記者会見[2] アーティスト魂かけて生み出される新たな視点