森村泰昌氏がアーティスティック・ディレクターに就任 ヨコハマトリエンナーレ2014第1回記者会見

「はじまりは国芳-江戸スピリットのゆくえ」展を開催している横浜美術館で、12月18日(火)に「ヨコハマトリエンナーレ2014」の第1回記者会見が行われた。

逢坂恵理子氏と森村泰昌氏
逢坂恵理子氏と森村泰昌氏

会場の円形フォーラムの席に「アーティスティック・ディレクター 森村泰昌」の名前があった。
森村氏は、自らが作品のなかの人物などに扮して撮影する作品で知られる。今日の森村氏は黒地に金の水玉のネクタイを締め、やや緊張したおももちで「わたくし」と主語を明確にし、慎重に言葉を選んでいたようだった。

横浜美術館で2度個展を開催したことから横浜に愛情をお持ちで、「ヨコハマトリエンナーレ(ヨコトリ)2014が無事終了するまで約2年間あるが、白紙の状態から形を作り上げていく、そのプロセスが最も重要。ヨコトリ2014の開幕までのプロセスをみなさんに見ていただきたい」という発言があり、いままでにないスリリングな展覧会になることをおおいに期待したい。

横浜美術館館長でもあり、組織委員会委員長を務める逢坂氏は、昨年総合ディレクターを務めた「ヨコハマトリエンナーレ2011」に思いを馳せ感慨深そうに、考え抜かれた論文を読み上げるように語った。ヨコトリ2011は、昨年3月11日に第2回記者会見があった。午前中は横浜で開催し、午後は東京で開催する直前に東日本大震災が発生し、会見は中止したが、ヨコトリ2011は予定通り8月から開幕した。

なお、「ヨコハマトリエンナーレ2014 開催概要」、「森村泰昌作品の横浜美術館での展示」は文末にまとめた。

■予想のつかない展覧会を開きたい              

横浜トリエンナーレ組織委員会委員長 逢坂恵理子氏

 5回めの横浜トリエンナーレにして初めて開催の2年前に、会場とアーティスティック・ディレクターを発表できることに感慨深いものがある。
2001年の第1回展開催から10年以上経ち、現代美術の国際展は全世界で200件あるともいわれて、現代美術は少し生活に浸透してきた感がある。横浜市のクリエイティブシティ構想の一環である横浜トリエンナーレの役割は、アートを通して世界や人間を知ることにある。また、違う考え方やクリエイティブな視点をアートを通して知り、学ぶことによって、人生をより幅広く豊かなものにし、未来に向けての示唆をアートから汲み取ることができる機会になればと思う。

アーティスティック・ディレクターは学芸員や美術評論家が多いが、そのような予想のつく傾向を避けて、予想のつかない展覧会を行って違いを出したい。
森村氏はさまざまなキャラクターに扮し、さまざまなジャンル―写真、歴史、映像、ファッション、執筆―を横断して美術に結び付け、現代の問題点にも鋭敏な感性をお持ちなので、いっしょに想定できない展覧会を仕立ててきたいと森村氏を選んだ。      森村氏選定にあたり、メンバー5人の「アーティスティック・ディレクター選定委員会」を設置した(詳細は記者会見のHPをご覧ください)。

■横浜への確実な愛があった                  

アーティスティック・ディレクター 森村泰昌氏

森村泰昌氏
森村泰昌氏

逢坂氏は美術家がアーティスティック・ディレクターになることをポジティブにとらえていたが、私は美術家でキュレートされる側にあり、本当はもっとふさわしいキュレーターがいるのではないかと思っていた。ヨコトリの関係者と話合いを重ねるうちに、アーティスティック・ディレクターとして務めることがリアリティーをもつようになり、引き受けた。
ヒッチコックの映画に『知りすぎていた男』があるが、「知りすぎて」いるために、ある形に嵌めこんでしまう場合もあり、「知らなさすぎる」私はすべてを白紙状態から始めることができるのではないか。また、横浜トリエンナーレの過去4回の経験値からの知恵を活用できると思う。
拠点となる横浜美術館では2回大きな個展を開き、美術家として横浜はたいへん重要な土地でもある。ほかならぬ横浜からのご指名なので、横浜への確実な愛情があり、それが白紙から構築するには重要なパワーになると信じている。
ヨコトリにはたくさんの優秀な仲間がいる、よいチームをつくりあげることができれば、きっとおもしろいヨコトリ2014になるだろうと、今は夢みている。

これから閉幕まで約2年間、そのプロセスも重要でよめないスリリングなことになるだろう。
そのスリリングなプロセスは密室で行うのではなく、公開の世界にしたい。
成功させるための重要な後押しになるので、(記者会見に集まった)みなさんの興味、好奇心、愛情をもって、ご支援を長く途切れずに行っていただきたい。

■Q&A 会場からの質疑応答
Q:ヨコトリ2014のイメージは。
A:美術、人間、社会、文化それぞれにとって今何が大事なのかという点を提案すべきだと思う。トレンドを追うと2番手になってしまう、トレンドは創り出すものだ。

Q:横浜市内には10年以上の歴史をもつNPOや現代美術のギャラリーが多数あるが、ヨコトリと交流する機会やプログラムがあるとよい。
A:コンセプトに応じて連携できるが、総花的にならず、焦点がぼけないようにしたい。提案として受け止めたい。

Q:現代美術にとって国際展にはどんな影響があったか。
A:規模を競うものになりがちだが、重要なのは質であり、内容を決めるためにはコンセプトが重要である。早いうちに発表したいが、コンセプトが答えになると思う。

Q:森村氏の役割とサポート、文化庁の関わり方
A:(帆足組織委員会事務局長から回答)森村氏の役割はコンセプトを決め、作家の最終選定に関わる。キュレーターとして横浜美術館の天野氏を中心に、外部スタッフなどもサポートする。文化庁は組織委員会にはオブザーバーとして参加してもらっている。2014年の開催年度に支援をいただきたいと考えている。

■森村泰昌/略歴
1951年、大阪市生まれ、同市在住。京都市立芸術大学美術学部卒業、専攻科修了。
1985 年ゴッホの自画像に扮したセルフポートレイト写真を発表。以後、「自画像的作品」をテーマに美術史上の名画や往年の映画女優、20 世紀の偉人たちなどに扮した写真や映像作品を制作。
『対談集 なにものかへのレクイエ ム―20 世紀を思考する』(岩波書店、2011年)など著書多数。2006年度京都府文化賞・功労賞、2007年度芸術選奨文部科学大臣賞、2011年に第52回毎日芸術賞、日本写真協会賞・作家賞、第24 回京都美術文化賞の各賞を受賞。同年、秋の紫綬褒章を受章。

■森村泰昌作品の横浜美術館での展示
現在、「横浜美術館コレクション展」では「なにものかへのレクイエム」シリーズから映像作品と写真作品が展示されている。所蔵作品は25点(寄託作品15点を含む)、コレクション展にたびたび出展される。個展の開催は下記の2回。

横浜美術館コレクション展 2012年度第3期「光をめぐる表現」2012年11月3日~2013年3月24日
http://www.yaf.or.jp/yma/jiu/2012/collection03/

「森村泰昌展 美に至る病―女優になった私」1996年4月6日~6月9日
http://www.yaf.or.jp/yma/archive/2010/800.php

「森村泰昌—美の教室、静聴せよ」展 2007年7月17日~9月17日
http://www.yaf.or.jp/yma/archive/2010/867.php

■ヨコハマトリエンナーレ2014 開催概要
名 称 ヨコハマトリエンナーレ2014
会 期 2014年8月上旬~ 11月上旬
※会期の詳細・休場日は、決定次第お知らせします。
主会場 横浜美術館、新港ピア(新港ふ頭展示施設)
主 催 横浜市、(公財)横浜市芸術文化振興財団、NHK、
朝日新聞社、横浜トリエンナーレ組織委員会
アーティスティック・ディレクター  森村泰昌(もりむら やすまさ)
*事業の総称および組織名は「横浜トリエンナーレ」(横浜=漢字表記)、第5回展の事業名は「ヨコハマトリエンナーレ2014」(ヨコハマ=カタカナ表記)。

■ヨコハマトリエンナーレ2014 第1回 記者会見
平成24 年12 月18 日(火) 14:00~15:00 横浜美術館 円形フォーラムにて
http://www.yokohamatriennale.jp/top/news/news-20121218-03.html

(写真:高橋晃、レポート:はしもと のりこ)

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