大巻伸嗣さんにインタビュー  巨大な柱が瀬戸内の光と風を映す 

《Liminal Air-core-》 高松港に設置された作品
■高松港で風景を感じる二本の柱
大巻伸嗣さんを都内のスタジオに尋ね、7月から始まった「瀬戸内国際芸術祭2010」の作品 《Liminal Air-core-》についてお話を伺いました。大巻さんは作品制作のために真っ黒に日焼けをしていました。
大巻さんの作品は、高松港の海の前に設置した二本の大きな柱で、人々を迎える芸術祭の門でもあります。高さ8メートル、160センチの人間とすると5人分の高さになります。柱は7色の大小の円盤を重ねたように色の帯で包まれ、帯の一部は鏡になっています。いちばん大きな直径は1メートルにもなります。
近くで見上げた作品
■構想は10年前から
作品のきっかけは、高松港で大空と島々の色が時間の経過とともに変化するのを見て、「すごいな」と思い、そのことに気がつく装置として作品をつくろうと思ったことだそうです。
柱は男女を交互に立てて重ねた形をイメージし、人間の凹凸をつけたと言います。地質調査で円中型の道具を地中に入れて土を取り出すと、地層を見ることができます。風を受けて立っている人が感じている空気を内側から縦に切り、ぐるりと外側をくるんでぎゅっと固めたもの、特定の空気を切り取った形がこの作品です。「内側・外側、領域、境界」は大巻作品のテーマのひとつになっています。
構想は2000年の作品《Ambivalence》(知性の触覚2000 それぞれの他者)にありました。画廊の天井いっぱい2.7メートルの柱で、プラスチックに人工漆を塗ったカラフルな作品。それを野外に8メールで2本つくりました。ステンレスで輪を作ってつなぎ、塗装をする。設計図を元に専門の業者に頼んだものの、大巻さんのイメージに近づけるのは大変だったそうです。イメージどおりにするため色は調合してオリジナルになりました。

■作品のそばで味わってほしい
柱に近づいて見ると、鏡に周りの風景が映り込み、見る人のうしろから風景が迫って来て、ぐるぐる回っているように感じるそうです。大巻さんの作品は見る人が作品に関わって風景を変え、風景の、作品の一部になるものです。「柱に近づいて、朝、昼、夜の時間帯や陽射、風によっても違う感覚を味わってほしい」と、大巻さんからのメッセージです。
柱のてっぺんは直径1メートルの鏡で、誰も見ることができない「空」が映っています。見上げた空が映っていることを想像してみてください。虹がかかる日もありました。どんなときに、作品に出会えるかによって、印象が異なるのも楽しみです。

《Memorial Rebirth Setouti》 7月18日の前夜祭、シャボン玉を待つ人たち

■シャボン玉が風景をつくる                                    7月18日の前夜祭では《Memorial Rebirth Setouti》が行われました。「横浜トリエンナーレ2008」でも人気があったシャボン玉を大量に発生させて、風景を変えてしまう作品です。前夜祭では、バケツ型のシャボン玉発生装置50台を中央に集め、「ここから芸術祭が始まる」ことを託したそうです。横浜で見られなかったという熱心なファンも含め会場には3000人が集まり、芸術祭への期待が盛り上がりました。翌19日のオープニングでは50台の発生装置を使い、青空のもと海に向ってシャボン玉が湧きあがり、ジャボン玉に映った風景が広がりました。

7月19日のオープニング、海の風景を変えるシャボン玉

■動画もごらんください。
大巻伸嗣 瀬戸内国際芸術祭2010 《Liminal Air-core-》について語る。
https://takearteazy.wordpress.com/2010/08/16/1430/

インタビュー 2010年7月31日、大巻スタジオにて掲載写真はすべて大巻さん撮影。

■瀬戸内国際芸術祭2010「アートと海を巡る百日間の冒険」 2010年7月19日(海の日)-10月31日(日)
会場:直島、豊島、女木島、男木島、小豆島、大島、犬島、高松港周辺 http://setouchi-artfest.jp/artwork/2_shinji_ohmaki/

■2010年の大巻さんの作品
●東京都現代美術館 企画展「こどものにわ」 7月24日~10月3日  http://www.mot-art-museum.jp/exhibition/114/1

●シンガポール LASALLE College of the Art “TROPICAL LAB 4” 9月20日~30日

●宮崎県立美術館「大巻伸嗣アーティスト・キャンプ」 公開制作10月5日~30日/展示10月31日~12月12日

●府中市美術館「いきるちから展」 12月3日~2011年3月6日

【大巻 伸嗣 (おおまき しんじ)】 1971年岐阜生まれ。1997年東京藝術大学大学院彫刻専攻修了。2009年10月より東京芸術大学美術学部彫刻科講師。主な展覧会・プロジェクトに、《ECHO》シリーズ(資生堂ギャラリー、東京画廊+BTAP、岡本太郎美術館、水戸芸術館 等)、《Liminal Air》(東京ワンダーサイト、ギャラリーA4、金沢21世紀美術館 等)、《Memorial Rebirth》(横浜トリエンナーレ 2008)など。

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